感染性胃腸炎は、「細菌性」「ウイルス性」「寄生虫」などの病原体によって感染します。

 

それぞれ、潜伏期間、発症期間などに違いがあり、当然、原因も違います。中でも乾燥時期に流行する「ノロウイルス」、乳幼児に発症が多い「ロタウイルス」は良く知られていますね。

 

今回は、感染性胃腸炎を起こす病原体べつに、それぞれの期間や経過を調べてみました。

 

 

 

感染性胃腸炎を起こす病原体「細菌」

・サルモネラ菌

サルモネラ菌
参照:https://www.mededge.jp/b/tech/12135

  • 原因=牛、豚、鶏の生肉 鶏卵 ペットの糞便
  • 症状=激しい腹痛、吐き気、ひどい下痢、血便
  • 潜伏期間=8~48時間
  • 発症~回復=半日~4日
  • 経過=激しい腹痛が繰り返し起こる、痛みには波がある。
  • 40度以上の高熱が出る。

 

胃腸炎の中では、かなり激しいタイプの下痢が起き、血便も見られる。概要=通常のサルモネラ菌は、胃酸によって死滅するが、感染を起こす場合は、かなり大量の菌が取り込まれたと考えられる。ペットは、特に爬虫類の90%にサルモネラ菌が確認できる。

 

回復から数週間から数か月後、成人の30%に、反射性関節炎を発症することがある。予防→生肉に使用した器具、用具の消毒、手洗いを充実させる。

 

卵を常温で保存しないようにし、必ず冷蔵庫に入れる。新鮮でない卵はよく加熱すること。カメなどの爬虫類を触った後は、手洗いを徹底する。

 

・カンピロバクター

カンピロバクター
参照:http://i-kouseikai.com/knowledge/?p=62

  • 原因=鶏肉 卵 レバー
  • 症状=腹痛、下痢(血便)、頭痛、悪寒 など
  • 潜伏期間=2~3日
  • 発症~回復=~7日
  • 経過=風邪に良く似た症状がでるため、間違えやすい。
  • 発症から7日くらいで自然回復する。回復から数週間後に「ギラン・バレー症候群」を起こすことがある。
  • 予防=鶏肉の十分な加熱、新鮮でない卵の十分な加熱、生レバーを食べない

 

ギラン・バレー症候群→ウイルス感染から数週間後に、突然手足の筋力の低下、腱反射の低下、顔面筋力の低下が起こる。人口10万人に対し、年間1~2人の症例がある。感染から1~3週間後に筋力の低下が発生し、2~4週間でピークを迎えて進行が停止する。症状は、3~6か月で回復し、予後は悪くない。10~20%で後遺症が見られる。インフルエンザウィルスでも、起こることがある。

 

・腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオ
参照:http://keijihagiwara.blogspot.jp/2010/06/blog-post_28.html

  • 原因=夏季の魚介類 刺身
  • 症状=38℃前後の熱、腹痛、激しい下痢、嘔吐
  • 潜伏期間=10~24時間
  • 発症~回復=1~3日
  • 概要=腸炎ビブリオは夏季の海水中に生息する細菌で、汚染された魚介類を食べることで、感染する。

 

ほとんどの腸炎ビブリオは無害だが、ごく1部の菌が感染し病気を発症する。生の魚介類を好む日本人は、感染確率が高い。発生当初は、かなり激しい下痢や嘔吐がある。脱水に注意し、徐々に軽減していかない場合は、医師の診断を受ける。

 

・病原性大腸菌

病原性大腸菌
参照:http://www.an.shimadzu.co.jp/surface/spm/sol/data/02_02.htm

・腸管出血性大腸菌 O-157

  • 原因=汚染された牛肉 手
  • 症状=下痢 激しい腹痛 血性下痢
  • 潜伏期間=3~4日
  • 発症~回復=7~10日
  • 経過=O-157、O-111は、牛の大腸に生息する菌で、その菌に侵されている肉を食べたり、触った手を介して、感染する。

 

下痢と激しい腹痛を起こし、感染から1~2日で血性下痢が起きる。通常、7~10日で回復するが、小児や高齢者の中には、「溶血性尿毒症症候群」「脳症」を合併し、死にいたることがある。人から人への「二次感染」で拡散しやすい。

 

感染性胃腸炎の二次感染を防ぐための消毒!市販の物は効く?消毒液の作り方とは?

 

細菌性の感染性胃腸炎は、下痢症状に血便が混じることが多く、腹痛も激しいものが多くあります。人から人への二次感染を最小限に食い止めるためにも、病院へ行き、原因菌の特定が必要です。また、回復後に他の病気を引き起こす可能性があるため、医師の診断を受け、経過の観察もしなくてはなりません。

 

感染性胃腸炎を起こす病原体「ウイルス」】

・ノロウイルス

ノロウイルス
参照:http://health.goo.ne.jp/column/healthy/h002/0020.html

  • 原因=二枚貝からの感染 人から人への二次感染
  • 症状=下痢、腹痛、嘔吐
  • 潜伏期間=24~48時間
  • 発症期間=1~3日
  • 回復期間=1週間~数週間
  • 経過=下痢、腹痛、吐き気が起きる。

症状には、個人差が大きく、軽い吐き気で終わる人や、感染しても発症しない「不顕性感染者」も多くいる。不顕性感染者を介して、二次感染も考えられる。感染力が強いため、集団感染となりやすい。

 

下痢が止まっても、ウイルスの排出は続いているため、手洗いは徹底し、良識的な行動が必要である。

 

  • 予防=手洗いの徹底、消毒(塩素系)

 

<不顕性感染者について>ウイルスに感染しても、発症しない人がいます。そのような人を不顕性感染者と言います。発症しなくても、感染しているので、不顕性感染者の便からは、ウイルスの排出が続いています。

 

不顕性感染は、見えない脅威と言われ、自分が保菌者であることに気づかないまま、感染を広げてしまうのです。不顕性感染者は、発症することなく、抗体を作る事ができます。

 

・ロタウイルス

ロタウイルス
参照:http://www.kikuchi-iin.jp/pc/free9.html

  • 原因=冬場に流行る乳幼児に多い感染性胃腸炎。
  • 症状=下痢、嘔吐
  • 潜伏期間=1~3日
  • 発症~回復=1週間
  • 経過=下痢、嘔吐を繰り返す。
  • 白色の水様便が出る。乳幼児に発症したさいは、脱水症状による重篤化に注意する。1度感染すると、抗体ができて、次回からは症状が軽減する。誰でも、1度は必ず感染する。

 

ウイルス性の感染性胃腸炎は、毎年必ずと言っていいほど、世間を騒がせます。それだけ、感染力が強く、ウイルスの拡散が激しいことがわかります。また、以前は二枚貝からの感染と言われていましたが、今は、不顕性感染者からの感染が一番多く考えられます。

 

食品を扱う人が、不顕性感染者の場合、その人が不用意に触ってしまったものから、集団感染が起きてしまう可能性が高く、実際に、幼稚園や高齢者施設などで起きています。これらは、衛生管理の徹底や、良識的な自己管理に任せるしかないと言えます。

 

感染性胃腸炎の病原体「寄生虫」

・赤痢アメーバ

赤痢アメーバ
参照:http://pathology.or.jp/corepictures2010/09/c06/03.html

  • 原因=赤痢アメーバの嚢子に侵された飲食物が口に入ることで感染する
  • 症状=粘血便 下痢 下腹部痛
  • 概要=日本では年間700~800人が発症、増加傾向。
  • 男性同性愛者に発症が見られる。重篤化すると、腸穿孔、腹膜炎を起こす。世界中で5000万人の感染が見られ、4~10万人が死亡している。

 

・ランブル鞭毛虫

ランブル鞭毛虫
参照:http://www.jomf.or.jp/report/kaigai/19/worm/a/a1/a1-2.htm

  • 原因=ランブル鞭毛虫の嚢子に侵された飲食物が口に入ることで感染する。
  • 症状=健康な状態の日本人ではほとんどが無症状 まれに水様性下痢
  • 概要=日本では年間100人程度。
  • 発展途上国を中心に、世界で2億人に感染者がいる。日本での発症は、ほとんどが輸入発症例で、インド、タイへの渡航後に多い。

 

寄生虫による感染性胃腸炎は、日本ではさほど多くはみられません。ただし、時代背景のひとつとして、男性同性愛者に発症が多く、増加しつつあると言う事は新たな問題点として考えられます。

 

感染性胃腸炎に感染したら出勤は控えるべき?いつから出勤してもいいの?

 

重篤化すると、命を落とす危険のある赤痢アメーバは、専門医での治療が必要です。

 

まとめ

細菌性の感染性胃腸炎は、主に夏季に多いと言えます。細菌は高温多湿を好むことから、夏場の食品管理には、注意しなければなりません。

 

特に、鶏卵は衛生管理の不十分な養鶏場などで、雌鶏の卵巣に菌が繁殖し、卵が出来る時には、すでに感染している可能性があるのです。消費者も、生産者についての表示を必ず確認し、自分で安全を確認する必要があるのです。

 

パックに表示のないような物は購入せず、自分の目で確かめるようにしましょう。ウイルス性の感染性胃腸炎は、乾燥期に多くなります。

 

気が付かないうちに菌をまき散らしてしまう不顕性感染者がいることを知り、マスクの使用や、手洗い、うがいを徹底し、自分の身は、自分で守るしかないのです。また、日頃から免疫力をあげて、感染しても、軽度で済むように、腸内環境を良くしておくことが大切です。