妊娠初期はつわりで苦しんでいたものの、安定期に入ると取り返すように食欲が湧き、一気に体重増加に走ってしまう人も多いのではないでしょうか。

 

また、通常時と変わらない食事でも、なぜか妊娠していると、太ってしまうのはなぜでしょう。実は、その体重増加と妊婦に起こりやすい便秘とは、大きな関係があるのです。

 

今回は、妊婦の便秘と体重増加の関係性、体重増加が起こす病気について調べてみました。

 

 

 

妊婦の便秘が体重増加につながりやすいわけとは?

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妊娠すると、女性の体は自然と出産に向けて変わって行きます。頭でいちいち考えなくても、気が付かない間にどんどん変わっていくのです。それは、女性ホルモンが大きく関係しています。

 

妊娠初期は、黄体ホルモン(プロゲステロン)が影響力を持っています。プロゲステロンは、着床した受精卵を大切に成長させるために、ありとあらゆる手段を講じて、体を変えていきます。

 

プロゲステロンの作用

  • 消化器官の運動抑制
  • 筋肉の収縮抑制
  • 皮下脂肪の蓄積
  • 水分の吸収力UP
  • 循環血液量の上昇

これらの作用によって、徐々に体に変化が現れます。

 

  • 便秘→子宮のすぐ近くにある腸は、ぜんどう運動によって栄養や水分の吸収や排便をおこなっていますが、消化器官の運動力が低下するため、ぜんどう運動が鈍くなり、便秘がおこりやすくなります。また、水分の吸収力がUPすることで、便に水分がなくなり、便秘になりやすくなります。

 

  • 下痢→消化器官の運動力が低下すると、腸内環境が悪化するため、消化力が鈍くなり、下痢を起こしやすくなります。

 

  • 体重増加→水分の吸収力がUPすることで、通常時と同じものを食べても体重が増えます。また、皮下脂肪を蓄えようとする力が働くため、体重が増えます。これは、お腹の周りにボリュームをつけて、赤ちゃんのクッションとなるためです。赤ちゃんへの栄養分や出産時の出血にむけて、循環血液量も増えるため、体重が増えます。

 

  • むくみ→体内の水分量と血液量が増えた状態で、筋肉の収縮力が低下するため、足の血管のポンプ力も低下し、むくみが起きます。

 

「赤ちゃんの分も合わせて、二人分の栄養を取らなきゃ!!」と、以前は良く言われていました。それは、ひと昔前の、資質の少ない食べ物の時代の話です。今は、その考えのまま、妊婦が二人分食べていたら、すぐに太りすぎて、病気になってしまいます。

 

体は、わざわざ二人分の栄養を摂らなくても、今までの食事からより多くの栄養を吸収する力を持っているのです。

 

それは同時に、同じものを食べていても、体重は増加しやすくなったと言えます。さらに、便秘が起きることで、腸内環境が悪化し、腸内には悪玉菌が増殖し始めることも影響しています。

 

長い時間腸内にある便は悪玉菌のエサとなり、腐敗していきます。すると腐敗物からは有毒なガスが発生し、体内に流れて行きます。

 

妊娠すると便秘薬が効かないのはどうして?辛い!出したい!

 

腸は、消化物から栄養と水分を吸収して、不要な物を排出すると言う、基本的な機能が果たせなくなり、代謝が下がってしまいます。当然、代謝が下がると、エネルギーを作り燃やす力も衰え、体重が増えます。

 

妊婦の体重増加は必要?増加はどのくらいまでならOk?

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妊婦さんの体型にもよりますが、出産直前の段階で、7~8Kgの体重増加があるのが理想的です。最近の妊婦さんは、体重増加の心配と同時に、太らないように食事制限をしてダイエットをしながら妊娠期間を過ごそうとする傾向があります。

 

体重の過剰な増加もよくありませんが、ダイエットはさらに危険です。それは、低体重児の出産につながってしまうためです。

 

「小さく産んで大きく育てる」などと、とんでもない間違えた考え方で出産してしまうと、愛すべき我が子に障害を与えてしまったり、病気のリスクを背負わせてしまう結果となります。

 

アレルギーや心臓病、肺病などは、低体重児に多く見られる疾患です。健康になれるはずの赤ちゃんを、あえて病気にしてしまうようなことがあってはいけません。

 

出産直前の母体は、胎児=3Kg、羊水=500g、胎盤=500g、胎児を守るための皮下脂肪=2Kg、蓄えた水分や増加した循環血液=1~2Kgほどの体重増加があるのが一般的です。

 

トータルで、7~8kgの増加です。体重が7~8Kgを大幅に超えてしまっている状態は、上記の「皮下脂肪」の部分が増加しているのです。

 

羊水、胎盤、水分や血液は、出産と共に排出されたり、吸収力が戻ることで、体重は元に戻ります。この体重の増加に関しても、体は大変都合よく出来ていて、胎児+羊水+胎盤+水分+血液の5~6kgは、出産することで自然と戻ります。

 

本来、2kgほどついた皮下脂肪は、その後の授乳によって、消費されることを考えて蓄えられているのです。そのため、出産から3~6か月ほどで、妊娠前の体重に戻るのが体に備わった消費能力なのです。

 

皮下脂肪は落ちにくいため、それ以上蓄えてしまうと、妊娠するたびに肥満へと近づいてしまいますので、妊娠時の体重管理は大切なことです。

 

妊婦の過剰な体重増加の危険性とは!

妊婦が必要以上に体重が増加し、皮下脂肪がついてしまうと、危険な妊娠、出産となってしまうことがあります。

  • 妊娠高血圧症候群=妊娠中毒症

10年ほど前までは、妊娠中毒症と言われていた病気ですが、その1番の問題点が「高血圧」であることが判明し、妊娠高血圧症候群と言われるようになりました。

 

妊娠中毒症では、「高血圧」「尿蛋白」「1週間に500g以上の体重増加による、むくみ」などのうち、2つの症状が見られた場合に、判断されていました。

 

ところが、高血圧が伴なう場合と、そうでない場合とでは異なる治療が必要だと判明しました。この妊娠高血圧症候群は、体重の増加と共に発症がみられます。また、便秘がひどくなったために、代謝異常が続き、それが体重の増加を招き、妊娠高血圧症候群に進行してしまうケースが多いのです。

 

妊娠高血圧症候群になりやすい人

  • 肥満
  • 35歳以上の妊婦
  • 親族に妊娠高血圧症候群を起こした人、もしくは高血圧症の人がいる
  • もともと血圧が高い

妊娠高血圧症候群とは?子宮や胎盤を通じて、胎児への栄養補給が上手く行かなくなってしまい、ひどくなると母体と胎児の両方に命の危険が及びます。

 

以前の妊娠中毒症とは異なり、妊娠高血圧症候群は妊娠20週~出産後12週までの間に、高血圧、または高血圧を伴う尿蛋白がみられた場合に、診断が下されます。

 

妊娠高血圧症候群から起こる重大な病気と言うと、「脳出血」「子癇」「常位胎盤早期剥離」「HELLP症候群」があります。どれも治療に急を要する病気です。

 

妊婦がなりやすい便秘からの痔。その出血は本当に痔?

 

  • 妊娠糖尿病→これは、妊娠時のみ現れる、糖の代謝異常です。肥満、遺伝などで発症します。また、35歳以上の妊婦は、発症確率が上がります。妊娠糖尿病は、胎児の奇形や巨大児、胎児の死亡をもたらすことがあるため、早期の治療が必要になります。
  • 産道脂肪→妊婦に皮下脂肪が付きすぎてしまうと、産道も脂肪過多となり、出産時に親子共々辛い思いをすることになります。

 

まとめ

妊婦は、ある程度の体重の増加は必要です。その必要な分は、出産すると、自然と元に戻ることができるのです。いつまでも戻らないのは、増加しすぎたと言えますが、必要な分まで増えていないような場合も問題です。妊娠時の体重の増加は、便秘が起こす代謝異常が問題で起こります。

 

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの怖い病気のリスクも高くなるため、過剰な体重の増加にならないように気を付けなければなりません。妊娠生活は、常に便秘になりやすい環境です。

 

そのため、万病のもとの便秘を起こさないように、食生活や生活習慣などに、注意しなければなりません。