熱もないしお腹も痛くないのに下痢が…。こんな経験ありませんか?

 

熱も腹痛もないとはいっても下痢が続けばやはり体力も低下し、いつ下痢便が出てしまうのか…と精神的にも疲れてしまいます。いったい何が原因でどのように対処すればよいのでしょうか。

 

これを読んで、どのような原因があるのかを判断する参考にし、適切な対処につながればと思います。

 

 

 

下痢はするけど熱も腹痛もなしなんてあるのか?

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下痢というとグルグルとお腹が痛みだして始まったり、吐き気や嘔吐(おうと)を伴うイメージがありますよね?またお腹の風邪なんかで下痢になると高熱が出ることもあります。

 

しかし、腹痛も発熱もないのに下痢が続くという症状もあるのです。

 

まずは下痢になる主な原因について知っておきましょう。

 

  1. 暴飲暴食などによる消化不量 
  2. 身体が冷えたことによる腸の異常収縮 
  3. 細菌やウイルスに感染しておこる感染性胃腸炎 
  4. ストレスなどによる過敏性腸症候群 
  5. アレルギー性の下痢 
  6. クローン病や潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)、大腸ガンやバセドウ病など重篤(じゅうとく)な疾患が隠れていることも。 

 

①は腹痛や発熱がなく下痢になることがあります。この場合は1、2回下痢をすれば治ってしまうことがほとんどです。

 

②~⑤のような原因で下痢が起こっている場合は腸がいつも以上に頑張って働いていたり、自律神経の乱れから腸が激しい収縮や痙攣(けいれん)を起こしていたり、腸の粘膜(ねんまく)自体に炎症が起こっているため腹痛を伴うことが多く、感染性胃腸炎に関しては高熱も同時に起こることもありますが、毒素型の細菌や、軽いウイルス性の胃腸炎では下痢のみのことがあります。

 

⑥は疾患によって異なりますが、大腸ガンは発熱や腹痛のない下痢が長期間続くことが知られています。慢性的な下痢をしている場合は、発熱の有無、腹痛の有無に関係なく、病院で適切な検査を行いきちんと診断・治療してもらう必要があります。

 

国際的には、50歳以上の方で大腸カメラをしたことがない方は、全員行った方が良いという推奨もある事から、下痢だけの場合でも、長く続く場合は、必ず大腸カメラを受けた方が良いと考えますし、家族にはそのようにしてもらうよう、医師の我々も家族にお願いしています。

 

そのほかの原因で腹痛も発熱もないのに下痢をする原因で良く知られているのは、牛乳を飲むと下痢をしてしまう人がいるというものです。

 

これは、牛乳に含まれている乳糖という成分を分解する酵素がもともと体の中に少なく、上手く分解できなかった乳糖は吸収されないため、下痢になってしまいます。これを乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)といいます。

 

乳糖不耐症は、もともと牛乳を飲むと下痢になりやすい人が日本人は多いことと、体調を崩した後に一時的に乳糖不耐症になる方がアジア人では多いことが知られています。

 

また、脂っこい物の摂りすぎや糖分の摂りすぎ、アルコールやカフェインの飲み過ぎなどが原因で消化不良を起こし、食べたり飲んだりしたものが消化吸収しきれずにそのまま排出されるために起こる下痢があります。この場合も腹痛や発熱のない下痢になります。

 

 

熱も腹痛もない下痢と食当たりの関係は?

食当たりとは、食品に混入した細菌や、この細菌が出す毒素、化学物質、自然毒(フグやキノコなど)によって起こる健康障害の総称です。その中でも細菌やウイルスなどの微生物が原因の食当たりが7割以上を占めるといわれています。

 

冬に流行るノロウイルスを除くと、一般的に食当たりの原因となる細菌などは高温多湿を好むため、発生件数は夏場に増加します。

 

また食当たりには原因によって潜伏期間(せんぷくきかん)に大きな幅があります。食後30分で症状が出る場合もあれば、一週間後に症状が出る場合もあり、忘れた頃に食当たりが発症することもあるのです。

 

食当たりの主な原因菌は、サルモネラ菌、O-157などの腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、ノロウイルス、ロタウイルスなどが良く知られています。

 

これらの微生物が原因で起こる食当たりは、下痢の他に嘔吐や発熱、腹痛を伴います。サルモネラなどの場合には腹痛も発熱もない下痢で食当たりというのは考えにくいです。しかし黄色ブドウ球菌のような毒素型の食中毒を起こす場合は、下痢しかでないことがあります。毒キノコの自然毒には腹痛も発熱もない下痢を起こすものはあります。

 

ちなみに食当たりと食中毒は同じ状態を指す言葉ですが、医学的には食中毒が正しく食当たりは医学用語ではないというだけの違いです。

 

 食当たりの時の対処方法は?

食当たりが疑われた場合には必ず医療機関を受診しましょう。もし、周りで同じ食事をして同じような症状になった場合は一緒に受診すると良いです(原因のお店の特定や、そのお店の営業を一時的に止めて感染拡大を防ぐために必要な情報だからです。

 

特に、下痢が1日に10回以上ある、体がふらふらする、尿量が減る、半日以上排尿がない、最初下痢だけだったが徐々に下痢に血が混ざっている、嘔吐が出てきて食事が取れないといった症状がある場合には早急な治療が必要です。

 

家でできる対処法は、とにかく脱水を予防するために水分補給をします。一度にたくさん飲むのではなく少しずつ何度にも分けて飲みます。水分量と共にイオンバランスを整えるため、スポーツドリンクやイオン飲料などがオススメです。

 

冷たいと胃腸を刺激してしまいますので、常温か温かい物で水分補給しましょう。

 

お年寄りや小さい子どもの場合は、仰向きに寝ていると嘔吐したものが気道を塞いでしまう恐れがあるため、横向きに寝かせてあげることも大切です。 

 

食事は消化の良いお粥やうどん、スープなどから始めます。下痢止めや吐き気止めを自己判断で服用してしまうのは危険です。医師や薬剤師の指示通りに服用してください。

 

下痢や嘔吐は体内から病原菌を排出しようとする反応なので、無理にとめてしまうと病原菌を留めてしまう原因となります。

 

 食中毒はどのように予防したら良いの?

まずは菌を増やさないことです。冷蔵や冷凍は効果的です。一般的に10℃以下だと菌の増殖は鈍り、-15℃以下で増殖は停止するといわれています。ただし解凍すると増殖は再開してしまいます。

 

塩分や酢なども細菌の増殖を抑える効果があるといわれています。

 

病原菌は人の手を介して移ってしまうことがかなり多いです。外から帰ったときやトイレの後、調理や食事の前などはもちろん、こまめに手洗いや消毒をするように心がけましょう。

 

調理器具は清潔に保ち、食材ごとに使い分けるようにしましょう。生の魚や肉には細菌が多く存在します。それを切ったまな板や包丁でサラダに使う野菜などを切ってしまうともちろん菌は野菜に移り、そのまま体内に運ばれることになります。

 

まな板や包丁は使い分け、使用後はきれいに洗い除菌するようにしましょう。十分な加熱により、病原菌を殺してしまいましょう。具体的には75℃以上で1分経過するとほとんどが不活化します。

 

その他にわさびや胡椒(こしょう)、唐辛子などの香辛料にも殺菌効果があるといわれています。分からない物は食べない。当たり前のことですが、自分で取ってきたキノコなどを十分な知識のないまま口にするのは危険です。絶対にやめましょう。

 

まとめ

腹痛や発熱のない下痢の原因は、食当たりだけではないことが分かりました。むしろ食当たりでは発熱や腹痛を伴う方が多いようです。

 

食当たりの予防をしっかり行い食当たりにならないことが最も良いのですが、もし食当たりかなと思う症状が出た場合も、きちんと対処して、早く辛い症状から解放されたいですね。

 

下痢はその症状だけでは判断が難しく、重い病気が隠れていることもあるので、医療機関で適切な診察を受けることも大切です。