腹痛の時に行う超音波検査は

・放射線被ばくがない
・人体に無害

という特徴があり、かつ腹痛の原因がわかる検査で、とても便利です。

 

安全な上に、詳しい情報がわかるのでとても便利なのですが、一方で、超音波検査をする人の技術の差で、見え方が変わってしまう、という難しさがあります。

 

超音波が一番身近に行われるのは、産婦人科の胎児の超音波検査です。 あの黒っぽい画像のですね。

 

あのように、黒っぽいものを病変かどうか見極めるための知識と、きれいな画像を得るための技術が必要です。

 

 

腹部超音波検査の実際の手順は?

腹部超音波検査はお腹にゼリーを塗り、超音波を出すプローブをあてて、お腹の中を調べます。簡便な検査で何度も行える上に、侵襲がなく痛みもありません。

 

見れる臓器は以下の臓器です。

・肝臓
・胆管
・胆嚢
・膵臓(難易度が高い)
・腎臓
・膀胱
・小腸・大腸(難易度が高い)

 

超音波検査で疾患特有の像を見つけることができれば、その場で腹痛の原因となっている疾患を特定することができます。超音波検査で見つけることのできる代表的な腹痛を起こす疾患についてお話します。

 

腹痛で最も多い感染性腸炎での超音波検査

急な腹痛の原因で最も多いのは感染性腸炎でしょう。

 

感染性腸炎は、下痢や嘔吐などの症状や、生ものの摂取などの問診で検査なしでもある程度予測可能です。しかし、症状が強い場合などには超音波検査を行い精査する場合があります。超音波検査では、腸の炎症の範囲や程度を視覚的に知ることができ重症度の判断の一助となります。

 

腸炎の原因となるウイルスや細菌は多くの種類があり、特定に時間がかかる場合も多くあります。

 

その前に、超音波検査をすると、病変の部位や特徴的な像から、腸炎の原因となるウイルスや細菌をある程度予測することができるのです。

 

例えば細菌性食中毒の原因で最も多いサルモネラ腸炎では、上行結腸に強い腸管の壁肥厚の像を多く認めます。

・大腸に病変がある
・上行結腸に症状が集中している

この特徴で、サルモネラ腸炎(細菌性腸炎)>ウイルス腸炎と考えられ、便培養の検査に進むことができます。

 

一方、ウイルス性腸炎の中で最も多いノロウイルスでは腸全体で腸管の拡張を多く認めます。

 

このように超音波検査を加えることで、原因となる菌やウイルスを予測し、早期に治療を開始することができるのです。

 

 

子供の腹痛の代表、虫垂炎の腹部超音波

もう一つ、腸に起こる腹痛で代表的な疾患といえば“虫垂炎”でしょう。

 

虫垂炎になってしまうと、手術が必要な場合も多く、治療が遅れると穿孔を起こし重症化することもあるので注意が必要です。

 

ただ、早期に見つけると抗生物質だけで治る場合も多いので、早期診断・早期治療が大事な病気です。

 

ただ、CT検査はわかりやすい検査ですが、放射線被ばくがあり、できれば子供には避けたい検査です(もちろん必要な場合には、絶対に必要な検査ですが・・)

 

超音波なら、技術は要りますが、放射線被ばくなく検査できます。痛がっている子が横になったまま、お母さんのそばにいるまま簡便に行える超音波検査は非常に有用です。

 

超音波検査で、腫大した虫垂や糞石、膿瘍を指摘できれば、虫垂炎と診断できます。虫垂炎は子供に発症することが多く、侵襲や被爆の危険性がないことも超音波検査が第一選択される理由の一つです。

 

 

突然の激痛を起こす尿管結石と超音波検査

突然襲う腹部の激痛の原因の一つに尿管結石があります。その痛みは七転八倒の苦しみともいわれ起き上がれないほどとも言われます。

尿管結石症とは?

この激痛は結石が尿管に落ち詰まらせることで起こります。このような結石が起こす痛みにも超音波検査は大変有用です。

 

超音波検査で結石は白く明るく映り、音響陰影という特徴的な影のような像を認めるため小さな石でも見つけやすいという利点があります。またX線では映らない種類の結石もあるため、結石を疑う場合は超音波検査をまず行います。

 

実際には、「腎臓の中に残っている結石」と「腎臓から出た直後の結石」は見えますが、膀胱までの途中にある場合はなかなか見えません。ですが、水腎症というのですが、腎臓からの出口がパンパンに張っている状態が殆どの方で見えるため、水腎症があれば尿管結石症とほぼ診断できます。

 

 

 

みぞおちの激しい痛みを起こす急性胆嚢炎の超音波検査

みぞおちの激痛の原因で最も多い疾患が急性胆嚢炎です。

 

急性胆嚢炎のほとんどが胆石により胆管が閉塞してしまうことで起こります。先ほどお話ししたように超音波検査は結石の診断に非常に有用なため、急性胆嚢炎でも活躍します。

 

超音波検査では、細部まで観察することが可能で結石の大きさや数、閉塞部位、結石の他にも胆砂・胆泥の有無も知ることができます。

 

 

急な腹痛の診断に有用な超音波検査

腹痛のときに超音波検査で診断される代表的な疾患についてお話ししました。超音波検査は侵襲性がなくベッドに横になった状態で簡便に行うことができます。

 

プローブをお腹に当てることで急な腹痛の原因疾患を素早く予測することができるのです。救急の現場では、いわばお腹の聴診器と言えるでしょう。

 

従来はガスの影響を受ける腸管の観察は超音波検査には不向きとされていましたが、昨今は機器の進歩や技術面の向上により、腹部のあらゆる臓器の観察が可能となっています。

 

急な腹痛では、原因疾患を素早く特定し、早期に治療を開始することが重要で、超音波検査はそれに対してとても役立つ検査です!