カンピロバクターは食中毒の原因となる細菌で、ニワトリ・ウシ・ブタ・ヒツジ・イヌ・ネコ・ハトなどの消化管内に高い割合で住み着いています。

 

酸素が少ない環境で増殖しやすく、酸素が多かったり酸素が全くない環境では増えれません(微好気性菌といいます)。

 

具体的には酸素濃度が3~15%という特殊な環境が必要で、酸素を21%含む通常の空気中では発育しません。 また増えやすい温度は31℃から46℃です。

 

動物の腸管内は酸素濃度や温度が発育に適しているため、腸の中に入ることにより菌が増殖しやすくなります。

 

高熱や乾燥状態では菌は倒せますが、低温(冷蔵庫のような4℃程度)に対しては強いため、冷蔵庫で保存しているからといって安心はできません。

 

他の食中毒と違い、カンピロバクター腸炎は真夏ではなく、5月~6月と10月に多いという特徴があります。

 

食品や水分と一緒に人の口から入り、腸内で増殖すると下痢などの胃腸炎症状を引き起こします。

 

また、少しの菌でも感染を起こします。外の環境はカンピロバクターにとって増殖しにくいですが、すぐに死んでしまうわけではなく、しばらくは生きてしまっているため、外環境に残っている菌が、他の食品や調理器具などを通じて食事に入って消えt、少しでも菌が体内に入ってしまうと感染が広がってしまいます。

 

 

カンピロバクターの症状は?

カンピロバクター食中毒は、下痢、腹痛を中心にした症状で、それに加えて発熱、倦怠感、頭痛、めまい、筋肉痛など様々な症状が起こることがあります。

 

初期段階では他の食中毒や風邪と区別が難しいことがあります。

 

下痢は殆どのカンピロバクター腸炎でおこってきます。下痢の性状は、水のような便が9割です。ただ、半分弱で血便になることがあります。

 

カンピロバクター腸炎では発熱も多いです。熱は約9割近い方に起こり、体温も38℃程度前後になること多いです.

 

腹痛も見られやすく、ほとんどの人でおこり、急性虫垂炎(盲腸)のような強い痛みが出ることもあります(CTや超音波検査をすれば区別できます)。

 

 

カンピロバクター腸炎とギランバレー症候群

カンピロバクター腸炎は、約1週間で自然治癒することが多く、死亡や重篤例はまれです。

 

ただし、カンピロバクター腸炎になって治ったあと、数週間経ってから、足から始まる手足の麻痺や顔面神経麻痺、ひどい場合に呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることが報告されています。

 

ギラン・バレー症候群患者の約30%がカンピロバクターに先行感染しているといわれています。

 

下痢のあとにしばらくしてから、足からはじまる症状で足を動かしにくい、などの麻痺症状があったら、専門的な診察が必要なので、下痢をしていたことをきちんと伝えつつ、「総合病院」の、「神経内科」を受診してください。

 

これは末梢神経の障害とされていて、腱反射の低下が特徴となりますので、神経診察が必要です。

 

ギランバレー症候群の治療方法は、免疫グロブリン療法などの専門的な治療が必要なので、市中の開業医では対応が難しいです。

 

ちなみに、ギランバレー症候群に先行する感染症は、カンピロバクタージェジュニが32%、サイトメガロウイルスが 13%、EB(Epstein-Barr)ウイルスが 10%、Mycoplasma pneumoniaeが 5%という報告があるように、他のウイルスでもおこるという報告があります。

 

 

カンピロバクターの原因は?

主な感染源は鶏肉です。

 

過熱が不十分な鶏肉(鶏のたたきや鶏レバー)の生食など加熱が不十分なものが原因になることが多いです。最近は牛レバーが禁止となった後、鶏レバーや鳥刺しなどが流行ってきているので、特に注意が必要です。

 

唐揚げなどの厚みのある肉では見た目では火が通っていても中心温度が40°C程度の場合があり、菌の増殖に適した温度になっているため注意が必要です。

 

また、少しの菌で発症するため、冷蔵庫内や調理器具、手指等から、他の食品に菌が付くことでも起こります。

 

不十分な殺菌による井戸水や湧水を原因とする食中毒も起きていす。感染者やペットの糞便が原因となることもあります。

 

 

カンピロバクターの潜伏期間は?

菌の入った食品を食べてから発症するまでの期間(=潜伏期間)は、約18時間〜8日(平均3.2日)で、他の細菌性食中毒に比べて長いのが特徴です。

 

そのため、下痢があって、熱もあるような場合は、外来診察で待っている間に、1週間前の食事まで思い出せると理想的です。

 

 

カンピロバクター腸炎の検査の方法は?

便培養検査を行い、カンピロバクターを同定します。

 

しかし、菌の培養は数日間かかるため、検査をせずに症状などから治療方針を決めることもあります。

 

 

カンピロバクターの治療方法は?

多くの場合は食生活の改善と体の安静で完治します。

 

重症な脱水症や敗血症のような重篤化したときに、抗生剤による治療を行う場合があります。マクロライド系やフルオロキノロン系の抗菌薬が使われることが多いですが、抗生剤に耐性がある場合があります。

 

 

下痢をすることにより菌を体外へ排出しようとしているのですが、下痢が続くからといって下痢止めを飲んでしまうと菌を排出できなくなってしまうので、自己判断で下痢止めを飲むのは控えましょう。

 

また、下痢による脱水に注意が必要で、経口補水液などをこまめにとるよう心がけましょう。

 

 

カンピロバクターはうつる感染か?対処方法は?

肉を生で食べるのを控え(70℃、1分以上加熱)、特に鶏肉は中まで火が通っていることをよく確認しましょう。

 

カンピロバクターは二次感染する感染症です。うつります。

 

調理器具の洗浄や加熱殺菌、手洗い・手指消毒を徹底することが大切です。(消毒用エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、塩化ベンザルコニウムなど市販されているほとんどの消毒剤が有効です)

 

特に生肉を扱ったあと、切った野菜などを通じて感染してしまう場合もあります。切った後の手洗いを行い、調理器具を処理してから他の食品を扱うようにしましょう。

 

 

冷蔵庫の温度でも生きているため、生肉とほかの食材は接しないように分けましょう。

 

最後に、カンピロバクターが生きていける環境をまとめておきます。

1.微好気性 → 大気中では徐々に死滅していく
2.発育温度:31∼46℃
3.低温では約 1 週間生存
4.水中でも約 20 日間生存
5.包装食品中でも生存性良好
6.乾燥には極めて弱く、加熱 70℃で1 分以内に死滅