イレウスとは日本語で腸閉塞という疾患です。

 

その名の通り、腸管(主に小腸〜大腸の部分に起こります)が機械的閉塞ないし、腸の動き(蠕動運動といいます)が何らかの原因で悪くなった時に、腸管の内容物が肛門まで到達しない状態の事です。

 

少し専門的な内容になるのですが、イレウスを理解するのに必要な4つの分類を理解する必要があります。

 

イレウスの種類とは?4つの分類

イレウスは、4種類に分かれます。

単純性イレウス
複雑性イレウス
麻痺性イレウス
癒着性イレウス

この4つです。

 

ではまず、単純イレウスと複雑性イレウスを解説します。この2つは腸の通り道に狭いところがありおこるイレウスで、食事が通過できなくなり起こる病気です。こういうイレウスを、機械的閉塞によるイレウスと呼びます。

 

機械的閉塞のイレウスは先述の2つに分類され、単純性イレウスといって腸管の血行不全の無いもの、複雑性イレウスといって血行不全を伴うものとにわかれます。特にこの複雑性イレウスは別名、絞扼性(こうやくせい)イレウスといって緊急で処置をしなければ、生命に危険を及ぼす疾患です。

 

腸の動きが悪くなるパターンもふたつに分類され、麻痺性イレウスといって腸管が運動麻痺する場合と、痙攣性イレウスといって腸管が痙攣性に収縮する場合があります。

 

また、別のパターンとしてはお腹の手術をすると、組織と組織が癒着する事で腸の動きが悪くなる事があり、これを癒着性イレウスといいます。

 

 

イレウスの具体的な症状は

イレウスが起こると、どのような症状が起こるのでしょうか。まずは腹痛です。下腹部全体に腹痛を感じるのですが、単純性イレウスの場合は周期的な痛みですが、複雑性(絞扼性)イレウスの場合は急激な発症になることが多いです。

 

そして、消化管が詰まる病気ですので、当然、便やおならが出なくなります。

 

そのうちイレウスが進行すると、腸の中に便が詰まってしまい、お腹が緊満になり、消化管の内容物が逆流してくるので、吐き気や嘔吐を伴います。

 

そしてこれが重要なポイントなのですが、腸管が機能しなくなるので、消化管から水分の吸収ができなくなるので脱水症状が起こります。

 

複雑性(絞扼性)イレウスの場合はこれらの症状がすべて急激に、かつ重篤に起こります。また、少し専門的にはなりますが、Wahl徴候といって絞扼している部分が固まりとなって鼓腸し、腫瘤として体表から触れる事もあります。

 

 

イレウスの診断から治療の流れ。手術が必要になるイレウスの状態とは

このような症状で病院を受診すると、医師はイレウスを疑い様々な検査をしていきます。

 

お腹のレントゲンやCTでニボーという腸管が水平に水面を形成する特徴的な所見があるのではっきりと診断可能な事が多いです。

 

治療内容ですが、約90%は保存的治療(手術などをしない治療)で治癒する事が多いです。

 

軽症であれば、絶飲食で消化管にモノが入らない状態にして、点滴で水分や栄養を補い、数日間でそのまま軽快してしまうこともあります。

 

もうすこし重症になれば、イレウス管といって鼻の穴を通してチューブをエックス線でお腹を透視しながら、詰まっている腸管の場所にまで誘導し、圧が高まっている腸管内の内容物を吸引する方法もあります。

 

腸管が正常に機能しなくなるので、正常腸管内細菌の異常や乱れが生じますので、抗生物質で同時に治療していきます。

 

そして、これらの内科治療でも状態が改善しない時や、各種検査の結果、複雑性(絞扼性)イレウスの可能性が高いと判断した時は外科的手術に踏み切ります。

 

腹部の症状が強い、もしくは血液データで乳酸アシドーシスになっている場合などは、腸に行く血流が不足するような複雑性(絞扼性)のイレウスを考え、造影剤を使ったCTで血流の評価を行い、治療方針を決めていきます。

 

 

イレウスの手術の内容

手術の適応となるのは、多くは複雑性(絞扼性)イレウスの場合が多いです。

 

開腹し、絞扼部分を解除して腸管を通過させるようにしたり、腸管が壊死してしまっている場合は、その部分を切除し腸管の断端を吻合する手術を行います。

 

この時に、肛門側の腸管が壊死し、機能しなくなるまで状態が悪化しているようであれば人工肛門の作成を行う事もあります。

 

人工肛門とは壊死して機能していない肛門側の腸管は閉じてしまい、口側の腸管で機能している部分をお腹の表面に植え付け、人工的に便が排出されるように行う手術です。

 

ただしこれは患者さんにとっても、生活スタイルが大きく変化してしまうため、その適応は慎重になります。

 

 

イレウスの術後の経過

手術当日〜腸管が機能し始めるまでは基本的に絶飲食です。

 

特に腸の一部を切断する手術を行った場合は、一週間ほど点滴から水分や栄養を補給し、腸の動きを確認し食事開始となります。

 

初めは水分から初めて、流動食といって水分の多い食事から徐々におかゆのような準固形物になり、最終的に常食となって約2週間前後で退院となりますが、イレウスの場合は術前の状態や手術の内容により経過は様々ですので、日付はそれぞれの主治医に聞いてみるのが一番正確なことは間違いありません。