胆嚢炎、胆石症について、その疾患概念と症状と手術の必要なタイミング、術後の経過について解説します。

 

胆嚢とは肝臓の直下に配置された8〜10cm程度の臓器で、内部に胆汁という液体を約50mlほど貯蔵している臓器です。

 

ヒトが食物を食べて食道から胃を通過して十二指腸に到達すると、この食物の刺激によって十二指腸からホルモンが分泌され胆嚢が収縮し、胆汁が排泄されます。この胆汁は胆道を通って、十二指腸へ到達しファーター乳頭という出口から腸管内に分泌されます。

 

胆汁には脂肪を分解したり様々な消化作用があります。

 

ちなみに便が茶褐色で独特な匂いがするのは、胆汁中に含まれるビリルビンという物質や、胆汁酸の影響によるものがあります。

 

そして、この胆嚢に細菌が感染したり炎症が起こると、胆嚢炎という疾患になります。

 

胆嚢炎になる最大の原因は胆石です。

 

我が国では胆石症の有病率は5〜7%程度と言われており、男性より女性に多いです。

 

胆石の保有率はかなり多いのですが、多くはsilent stone(眠った状態の石)といって、それがすぐ何らかの症状を呈したり胆嚢炎になるとは限りません。

 

胆石症には無症状胆嚢胆石と有症状胆嚢胆石があり、半数以上の患者さんは無症状で、痛みなどの症状が発生するのは年に1〜2%ほどですので経過観察される事が多いです。

 

有症状胆嚢胆石の場合、よく起こる症状は、発熱、黄疸、右季肋部(右肋骨とお腹の間の部分です)の痛みです。

 

これを医学的にシャルコーの3徴といい、これらの症状があると医師は胆石症を疑います。

 

胆石症を疑った時は、診断に一番有用なのは腹部超音波検査で、このエコー検査で90%以上の確率で胆石症が診断できます。

 

救急外来などで突然受診した時でも、簡易なエコー検査で診断出来ることが多いです。

 

それでもすぐに手術が決定するのではなく、まずは食事療法や薬物治療など内科的なコントロールで経過を見ます。(ただし、早期に週術治療をしたほうが成績が良いというデータもあり、これは主治医の判断によるところが大きいです)

 

食事療法は特に需要で、脂肪分の多い食事だと、前述のメカニズムから胆嚢の疼痛発作を誘発してしまうので、栄養士と相談の上で患者さんの食生活をただす事も重要になってきます。

 

 

胆嚢炎で手術が必要な状態は

胆石症などの背景があり、胆嚢に感染や炎症が起こった時に胆嚢炎という診断がつき、手術の適応を決めます。

 

痛みのコントロールが薬物治療などの内科的治療でコントロールが出来ない時や、黄疸、炎症反応が重篤になった時に手術が行われます。

 

胆嚢炎の手術の内容

基本的な術式は胆嚢摘出術です。

 

昔は、開腹手術で右上腹部を斜めに大きく切開し、胆嚢を摘出していたのですが、近年は医学も進歩し、腹腔鏡手術がメジャーになっています。

 

1987年にフランスで開始され、現在では腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準的になっています。

 

腹腔鏡手術はおへその部分に2cmほどの小切開を加えてカメラを入れ、画像越しに、鉗子というマジックハンドのような器具を使い手術する方法です。

 

お腹の傷を小さくする利点とともに、傷が小さく出来るので術後の患者さんの痛みや負担が少ないという利点があります。

 

しかし、胆嚢炎が重症化すると、周りの肝臓周囲にまで炎症が波及し、膿瘍を形成するような状態が確認出来れば、腹腔鏡手術で開始したとしても、後に開腹術へ移行することもあります。

 

 

胆嚢炎の手術後の経過

手術当日は基本的に絶飲食です。

 

1〜2日後に、術後の炎症の改善具合を見て食事を開始していきます。

 

初めは水分から初めて、おかゆのような水分の豊富な食事から徐々に固形物の食事になります。

 

病院施設や外科医の方針にもよりますが、腹腔鏡手術なので術後のダメージも少なく、術後1週間以内に退院出来る場合が多いです。

 

退院後も、食事療法は重要で、フライなどの油分の多いものや、コレステロールの多い肉の他、魚介類でもイカ、エビ、内臓類は制限する事が必要になります。

 

玄米、大豆製品、野菜、果物に多い食物繊維はコレステロールを下げる効果があり、暴飲暴食はさけ、規則正しくゆっくり食事をすることがよいでしょう。