胃がんとは、50歳〜60歳の男性に多い癌で、男女比は2:1となっています。ただし後述しますが、Bormann4型という胃がんの中でもステージが進展したタイプに限り女性に多いという特徴があります。

 

そして、ヘリコバクターピロリという細菌が胃がんの発生に関与していると言われています。ですのでピロリチェックといって検診でピロリ菌が陽性とでた場合、内視鏡で胃がんではないと確認していたとしても除菌をすることになっています。

 

 

胃がんの進行度には分類があり、大まかに5つのステージに分かれます。軽いタイプか ら、最も悪性度の高いBormann4型、スキルスといったタイプにわかれます。ちなみに5型は分類不能型とされています。

 

 

癌とは

少し専門的な話になりますが、癌とはそもそもどういった状態なのでしょうか。

 

それを理解するために腫瘍の良性/悪性の違い、出来る場所によって上皮性、非上皮性、というタイプに分かれる、という概念を説明していきます。

 

腫瘍には良性と悪性があるのですが、良性腫瘍とは腫瘍が間質や血管、リンパ管を侵さないもの、悪性腫瘍とはそういうものを無関係に浸食する腫瘍です。この無秩序な広がりがカニのようなので、癌を英語でCancer、あるいはドイツ語でKrebs、といいます。この性質のため悪性腫瘍は血管やリンパ管に癌細胞が進展し、体のあちこちに遠隔転移してしまい、様々な臓器障害をおこすため人を死に至らしめるのです。

 

上皮性、とは体の“外側”という意味で、非上皮性とは体の“内側”と言う意味です。

 

具体的に上皮とは、医学的に例えば皮膚の表面は上皮ですし、消化管なら下界に接する部分をいいます。口の中、食道〜胃、小腸、大腸の食べ物が接する腔の壁を上皮、といいます。

 

ここに腫瘍ができ、それがさらに悪性腫瘍の場合を上皮性悪性腫瘍、いわゆる癌、といいます。

 

例えば胃の上皮に腫瘍ができ、組織検査で悪性となれば胃がんの診断が確定します

 

 

 

胃がんの具体的な症状は

実は胃がんには特有の症状はありません。心窩部痛(ミゾオチ付近の痛み)、胸のむかつき、悪心(気持ち悪さ)、体重減少、吐血などは胃がんを疑う症状の一つではありますが、例えば吐血したといっても胃潰瘍の場合もありますし、症状だけでは胃がんを疑うのは困難です。

 

そのため
・何か症状があれば積極的に胃カメラ検査してみる
・年齢に応じて胃カメラ検査で胃がんを探す

という2ぐのアプローチが必要です。

 

 

胃がんの診断

以前はバリウム検査が胃がんの診断のメインでした。今でも検診などで行われていますが、バリウムという造影剤を飲み、レントゲンで胃を写し、胃の壁の形を診て胃がんを診断する検査です。

 

近年は内視鏡の性能が発展したため、こちらで診断されることが多くなっています。

 

胃がんを疑ったり、あるいは検診で、上部消化管内視鏡いわゆる胃カメラを行い診断をつけていきます

 

胃の壁を直接カメラで診ると、形や色の変化で、悪性腫瘍を形成していそうなポイントをみることができます。その部分を生検といって少しつまんで摘出します。

 

そして、その生検標本を病理診断にかけて癌細胞がいるかどうか確認します。また癌があれば進行度合いを確認するために病理検査で組織型を判断した上で、最終的に胃がんを確定診断します。

 

特に早期胃がんの発見にはこの上部消化管内視鏡検査が必須となりますので、自治体等で、検診すべき年齢になれば積極的に受けていきましょう。

 

 

胃がんの手術と術後管理

昔は全例、外科による開腹手術でしたが、近年は内視鏡技術の発展により早期発見が可能になったため、早期の胃がんであれば内視鏡のみで治療可能です。

 

内視鏡治療の適応は、癌の進展度が固有筋層という深さまでにとどまっていること、1m以下の潰瘍を伴わない分化型のステージⅡc以下であること、20mm以下の隆起性病変であるがステージ1あるいはⅡaまでであること、など専門的適応条件がきまっています。

 

内視鏡治療はポリペクトミーといって胃カメラ下にワイヤーで腫瘍を摘出してしまう方法や、ESDといって、胃カメラ下に電気メスで病変部分を切除する方法があります。かなり高度な技術なので消化器内科の専門医にしか施行できません。

 

進行がんに対しては、基本的に外科手術となります。

 

手術内容は胃がんの進展具合によって様々ですが、幽門側(胃の下側)、あるいは噴門側(胃の上側)胃切除術や、病変の広がりが大きい場合は胃全摘手術を行います。

 

摘出した部分は食道と十二指腸で吻合(BillrothⅡ法、Roux-enY法といいます)し、つなげます。

 

同時に所属リンパ節も郭清(胃の周りに走行するリンパ節を切除する事)します。

 

これらの手術も近年は腹腔鏡手術の技術が発展したため、お腹の傷を小さくし体のダメージを最小限にとどめた腹腔鏡下の胃摘出術も行われるようになってきました。

 

切除不能例や、進行がんであった場合は、体内に残存するがん細胞に対して化学療法、免疫療法を行う事もあります。

 

術後の経過は、例えば胃全摘であれば5〜7日は絶食期間が必要ですので、その間は中心静脈栄養といって、鎖骨下静脈や内頚静脈といった太い静脈に留置した点滴から高カロリーの栄養を入れます。

 

消化管の機能の回復が見込める術後、約1週間で食事を開始します。

 

全身状態が良好であれば術後、約2週間で退院となります。

 

進展度にもよりますが、仕事復帰はだいたい手術から約1ヶ月程度を見込んでおけば良いでしょう。