大腸がん(癌腫)とは、大腸にできる癌のことです。では、そもそも癌(がん)、とは一体何をさしている病名なのでしょう?このページでは、まずそこから詳しく解説しますね。

 

癌(がん)は癌腫、といって悪性腫瘍の1つの分類になります。

 

悪性腫瘍は体のなかに悪いものができる病気で、上皮性、非上皮性、という2タイプに分かれ、上皮性悪性腫瘍を癌腫、非上皮性悪性腫瘍を肉腫、といいます。

 

上皮、とは体の“外側”という意味で、非上皮性とは体の“内側”と言う意味です。

 

例えば皮膚の表面は上皮ですし、口の中も上皮です。気管や肺の空気に接する部分も上皮になります。外に接している部分にできる悪性腫瘍を、癌(がん)と表します。

 

大腸がんは、大腸の上皮に腫瘍ができ、組織検査で悪性の診断がつけば、大腸がんの診断が確定します。

 

 

大腸がんは、最近増えてきています。その原因の一つとして日本人の食生活が欧米下し、多量の脂肪の摂取と食物繊維の減少の影響が言われています。

 

このメカニズムとしては、脂肪の多い食品を摂取すると、胆汁といって肝臓で生成され胆嚢に貯められている成分の分泌が促進し、その代謝産物の胆汁酸が大腸粘膜を刺激するため、といわれています。

 

逆に食物線維の多い食事は、糞便量を増加させ、糞便の腸通過時間が短縮することで大腸がんの発生を抑制する、といわれています。

 

発生は場所は大腸の中でも直腸が最も多く(約40%)、次いでS状結腸(30%)、上行結腸(13%)となっています。

 

死亡率は本邦より欧米の方が高く、好発年齢は60歳代をピークに70歳代で、50歳代に多くみられます。そのため、海外では50歳以上の人では全員に、大腸がんの検診を推奨されています。

 

進行度は最も早期の0型(表在型)から進行型の4型(びまん浸潤型)まであります。

 

また、癌病変の広がりだけでなく、病変の深さによっても分類されます。

 

大腸がんの具体的な症状、どんな症状がなぜ出るのか

一般的には血便と腹痛、便秘や下痢といわれています。特に血便は特徴的で、この症状があった場合は早急に消化器内科で大腸内視鏡をする必要があります。

 

ただし血便があったからといって、それすなわち大腸がんとは言えません。

 

また大腸がんが進行すると腫瘍が腸内腔を圧排するために便秘傾向になり、最終的に腸閉塞に発展してしまう危険があります。

 

・便秘が出る場合
・下痢が出る場合
・血便が出る場合
・腹痛が出る場合
・何も症状が出ない場合

それぞれの場合があり、特に注意するのは何も症状がない場合や、症状が出たり消えたりする場合です。

 

何かおなかに気になることがあれば(なくても一度も大腸のカメラをしたことがなければ)、50歳以上は全員が大腸癌の検査をしておくことを考えるべき、というのが最新の海外のガイドラインです。

 

大腸がんの診断

大腸がん検査には、大きく2種類があります。

 

一つは便に血が混じっているかを調べる便潜血検査で、もう一つは大腸を直接見る大腸カメラの検査です。

 

便潜血の検査は、便に血が混じっているかどうかを調べる検査です。大腸がんが進展すると、癌腫瘍細胞から出血を伴い、便に血が混じることがあります。

 

ここで重要なのが、血便として見た目に見えていなくても微小な血液が便に混じることがあるので、便潜血反応という検査でスクリーニングを行っていきます。

 

この検査はヒトヘモグロビンという血液に含まれる成分を便から検出する検査で、いわゆる偽陽性が少ない検査です。

 

便鮮血検査での陽性率は早期ガンで4〜5割、進行がんで7〜8割といわれています。

 

何か症状がなくても、毎年検査しておくことをおすすめします。

 

2008年の時点では、大腸がんの検診では、①毎年の便潜血検査もしくは、②10年ごとの大腸カメラもしくは、③5年ごとのS状結腸内視鏡検査と便潜血の組み合わせが推奨されていましたが、今は具体的にコレを絶対にしなさいというのはなくなってしまっています。

 

50歳以上は一度は大腸カメラをしておくというのは良いことだと思います。

 

直接的な診察としては、直腸がんの場合は直腸診察で診断ができることもあります。

 

そしてスクリーニングで大腸がんが疑われると、もしくは最初の検査(人間ドッグなどの場合)で、下部消化管内視鏡、いわゆる大腸内視鏡を行います。

 

一番有用な検査は内視鏡検査です。大腸カメラで疑わしい部分を見つけると内視鏡医は生検といって、その部分を一部採取し、病理組織として提出します。そして組織診断により最終的に大腸がんが確定します。

 

https://www.uspreventiveservicestaskforce.org/BrowseRec/Index
(ここで、海外の最新のスクリーニング検査についての情報が得られ、とても便利です)

 

 

大腸がんの手術と術後管理

治療は内視鏡的切除術、腹腔鏡下切除術、開腹下根治術になります。

 

早期のがんであれば、内視鏡下ポリペクトミーといってワイヤーでループを作り腫瘍を摘出したり、EMRといい、内視鏡下に粘膜切除を行います。つまり大腸カメラだけで治療もできます。

 

進行したタイプであれば腹腔鏡下切除術、開腹下根治術を行い、大腸がんの発生した場所により切除部分は異なります。

 

盲腸病変であれば回盲部切除術、上行結腸病変であれば右半結腸切除術、横行結腸病変であれば右半結腸切除術、下降結腸であれば左半結腸切除術、S状結腸病変であればS状結腸切除術になります。

 

また、直腸病変の場合は病変部分に応じて、高位前方切除術、低位前方切除術などが行われます。

 

 

 大腸がんの手術後の経過(腹部手術をした場合)

大腸がんの手術後の経過は、2〜5日は絶食期間が必要ですので、その間は通常の点滴、あるいは中心静脈栄養といって、鎖骨下静脈や内頚静脈といった太い静脈に留置した点滴から高カロリーの栄養を入れます。

 

約1週間でおかゆ等の消化の良い食事を開始します。

 

全身状態が良好であれば術後、約2週間で退院となります。

 

大腸がんは、消化器癌のなかでも最も手術治療成績がよいといわれています。特に早期がんであれば、90%程度の確率で根治の可能性があります。