このページでは、口の中から胃に向かう通り道である、食道について解説します。

「空気」と「食事」は同じ場所から入ってきます。

 

しかし、空気は肺に入り、食事は胃腸に入る必要があるので、お互いが別々の場所に移動するための仕組みが大事です。食道は、胃に入った食事が逆流してこないようなシステムを持っています。

 

このページでは、食道の機能について分かりやすく解説します。

 

 

消化管の壁の構造

食道の構成する組織を知る前に、まずは一般的な消化管の壁というものがどういうものでできているのか知っておく必要があります。

 

消化管の壁は、内腔側から順に

粘膜上皮(ねんまくじょうひ)→粘膜固有層(ねんまくこゆうそう)→粘膜筋板(ねんまくきんばん)→粘膜下組織(ねんまくかそしき)→内輪走筋(ないりんそうきん)→外縦走筋(がいじゅうそうきん)→漿膜上皮(しょうまくじょうひ)

の順に並んでいます。

上の絵は食道の解剖ですが、食道も、このような構造になっています。

 

 

まずは一般的な腸の構造について解説し、その後食道の独特な機能について解説します。

 

粘膜上皮は、多くの消化管壁(胃や小腸など)では単層円柱上皮(たんそうえんちゅうじょうひ)という、一層の細胞が一列にきちんと並んでいる形の上皮です。

 

消化管壁にこの上皮の形が多いのは、この上皮は何かを分泌するのに適した上皮であるからです。また、消化管壁は外傷がつく可能性は低いので(体の中にあるので)、厳重に守らなくてもいいからという面もあります。

 

 

また、粘膜下層にはマイスネルの粘膜下神経叢という神経の集合体のようなものがあり、消化管の腺からの分泌を調節しています。内輪走筋と外縦走筋の間にはアウエルバッハの筋間神経叢というマイスネルの粘膜下神経叢と同じような神経の集合体があり、これによって消化管の運動を調節しています。

 

最後に漿膜という特徴があります。漿膜は人にとっての服のようなものであり、消化管壁を外側から守ってくれています。

 

 

 

食道の組織とほかの組織との違い、特徴

さて、ここからは食道の組織についてです。

 

食道の組織は一般的な消化管壁と異なっている点が3つあります。

 

食べ物のはじめの通り道である食道のバリアー機能の粘膜

1つ目は食道の粘膜上皮は非角化重層扁平上皮(ひかくかじゅうそうへんぺいじょうひ)であることです。

 

食道の場合は、食事の塊が通過する(しかも未消化の状態で)初めの場所なので、分厚い組織でバリアーしないといけません。そのため、重層(層が何層もある)扁平上皮という、バリアに向いた組織で出来ています。

 

皮膚などが角化重層扁平上皮であることを考えると、食道が非角化重層扁平上皮なのは、まだ食べたものが十分に消化されておらず、粘膜を傷つける可能性が高いからであると言えます。

 

単層円柱上皮が分泌に優れた上皮であるのに対して重層扁平上皮は外傷への耐久度が高いのです。なぜなら多くの細胞が何層にも重なり合っているからです。一層よりも多層の方が耐久度が高いのはうなずけると思います。

 

 

食道の滑らかさにかかわる粘膜筋板

2つ目は粘膜筋板が発達していることです。この見解には多くの意見があります。一つ言われているのは粘膜筋板が収縮することで食道にヒダを形成し、食道の内腔に多くの分泌物を送り込めるということです。

 

 

食道にはない漿膜について

3つ目は漿膜がないことです。漿膜は本来臓器の一番外側覆い、臓器を守っている膜です。これが食道にはありません。その弊害として食道がんは浸潤が他のがんに比べて早いことが知られています。

 

 

食道の逆流防止のシステム

次に下部食道括約筋についてです。下部食道括約筋とは食べたものが胃にひとたび入ったら逆流してこないようにしている筋肉のことです。

 

胃と食道のつなぎ目の部分に存在していて、ものを食べていない時は収縮しています。何か食べてそれが胃に入ろうとしたとき位にだけ弛緩、つまり収縮していたのが緩み、胃の中に食べものは送られます。

 

この下部食道括約筋の働きが緩むと、胃の中のものが逆流し、逆流性食道炎になってしまいます。胃の内容物は強酸性ですので、食道の粘膜を傷つけてしまいます。

 

下部食道括約筋の働きが弱まるのは、例えば脂肪分の取りすぎや食べすぎな食生活が長く続いた場合です。

 

 

脂肪分を多くとると、その分消化・吸収しようと脂肪分を分解するための消化酵素(コレシストキニン)が多く分泌され、胃が引き伸ばされたりすると下部食道括約筋が緩むと考えられていますので、食生活を整えることが逆流性食道炎の予防につながります。