十二指腸の名前は「十二横指の長さ」の腸であることを意味しています。「横指」とは医療関係者でよく用いられる長さの単位で、指1本分の太さ(横幅)が1横指です。

 

十二指腸の解剖

十二指腸という単語が差す正式な領域は、胃の幽門部から空腸曲のトライツの靭帯までです。トライツの靭帯とは十二指腸から空腸へと移行する際に腸は走行の向きを少し変えるのですが、その際に体に固定しておくために存在する靭帯のことです。

 

また、十二指腸には大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)という器官が存在し、そこには膵管と総胆管が開口しています。開口というのは、口を開けるように開いたり、閉じたりしていることから開口と呼ばれています。(逆流しないように閉じることができるのです。)

 

膵液と胆汁はそれぞれ膵臓と肝臓(で生成され胆嚢で蓄えられる)で生成されたのちこの大十二指腸乳頭から分泌されています。この開口部にはオッディ括約筋と呼ばれる平滑筋が存在しており、それが大十二指腸乳頭の開閉を担っています。オッディ括約筋の開閉にはコレシストキニンなどの消化管ホルモンが関与しています。

 

さて、十二指腸の役割ですが、まず代表的な役割は胃から受け取った食物を大十二指腸乳頭から分泌される膵液、胆汁と混ぜることです。

 

 

十二指腸での消化にかかわる、膵液という酵素

膵液はその名の通り膵臓で生成され膵管を通って大十二指腸乳頭へと到達します。膵液には20種類以上の消化酵素が含まれていて、その分泌量は1000cc/dayにも達すると言います。

 

胃から十二指腸に送られてくる消化途中の食物は胃で胃酸と混ざったことで酸性になっていますが、十二指腸に入ると膵液によって中和され、中性あるいはアルカリ性にされます。これは、膵液に含まれている重炭酸塩の作用によります。

 

膵液に含まれている消化酵素は酸性では働くことができないので、膵臓は自ら自分が生成する膵液が働きやすい環境を作っていると言えます。

 

重炭酸塩と消化酵素は膵臓の中でも分泌する細胞が異なっていますが、ここでは詳しくは述べません。腺房中心細胞や導管細胞という細胞が重炭酸塩を分泌していて、腺房中心細胞という細胞が消化酵素を分泌している、という各々の名前程度は知っていてもいいかもしれません。

 

膵液の消化酵素には、タンパク質を分解するトリプシン、デンプンを分解する膵アミラーゼ、脂肪を分解する膵リパーゼなどが含まれています。ところが、これらの消化酵素は単独では脂肪を分解することができないので、胆嚢から放出された胆汁がリパーゼなどの膵酵素を活性化させて、脂肪の分解に働いています

 

膵液の分泌は迷走神経という副交感系の神経の刺激の他にも、胃や十二指腸の内分泌細胞が血中に放出するセクレチンとコレシストキニンというホルモンによっても刺激されています。これらのホルモンは、十二指腸の中に食物が入ってくると分泌され、セクレチンは重炭酸塩を、コレシストキニンは消化酵素の分泌をそれぞれ刺激します。

 

 

こういった消化酵素を胃からきた食物にと混ぜ合わせることで、胃では消化しきれなかった分を細かく分解、消化する役割を担っています。

 

 

ちなみに、ストレスや悪い食事習慣、喫煙、薬剤などによって十二指腸の粘膜を守る粘液の分泌が少なると、胃酸の影響を受け、十二指腸の壁が溶かされてしまいます。これがいわゆる「十二指腸潰瘍」です。

 

胃が酸への防衛機構を強く持っているのに対して、十二指腸の粘膜は酸に対する防衛が強くないので、負の環境因子によって悪い影響を受けやすいのです。

 

また、ヘリコバクター・ピロリという寄生虫に感染していても十二指腸潰瘍になります。というよりもむしろ、ヘリコバクター・ピロリへの感染が十二指腸潰瘍の95%占めているとも言われます。