小腸は、十二指腸、空腸、回腸の3つの部位に分けられる消化管です。胃の幽門から大腸の回盲弁(かいもうべん)と呼ばれる構造までの構造で、消化器系の中でも特に吸収の役割を担っています。

 

小腸の解剖

空腸、回腸は長さ6m~7mもある管腔臓器(かんくうぞうき)で、主に栄養素と水分の吸収を行っています。

 

小腸をイメージするとき、とても長い腸が適当に折れ曲がって体の中に入っている絵をイメージする方が多いと思いますが、空腸の一番初めの部位はトライツの靭帯によって、回腸の最後の部位は腹膜後壁にそれぞれ固定されているので、そこまで自由度は高くありません。

 

また、空腸と回腸と呼び分けてはいますが、実のところ明瞭な境界があるわけではないです。十二指腸から続いて全体の2/5が空腸で3/5が回腸であるとされています。輪状ヒダという管腔内部の構造の数の違いや、血管支配の違いなどからも分けられています。

 

 

輪状ヒダとは名前の通り管腔内に存在するヒダのことで、この構造があるおかげで小腸の管腔側の表面積はトータルで200㎡にも達し、効率よく栄養素や水分を吸収できるのです。(200㎡と言われてもパッと来る人が少ないと思います。これは人の皮膚の総面積の約100倍の広さです。)

 

 

血管支配については、空腸の方が血管分布が多く、回腸は空腸ほど血管が多くありません。

 

 

小腸での栄養素の吸収

さて、次に小腸の栄養の吸収についてです。小腸には輪状ヒダの他にも絨毛と言う表面積を広くする構造があり、たくさんの面を利用して栄養素を効率的に吸収しています。

 

絨毛は輪状ヒダよりもミクロな世界で、目に見えません。小腸の管腔は一見すべすべしているように見えますが、この絨毛がびっしり生えていて触ると少しざらざらしています。

 

この表面に存在する終末消化酵素と言われる、文字通り最後の消化酵素の働きによって最後の消化活動が行われ、速やかに吸収されます。

 

すべての栄養素の90%は小腸で吸収されています。

 

十二指腸、空腸、回腸でそれぞれ吸収する栄養素は異なっていますが、空腸から回腸までの間で3大栄養素は全て吸収されるのです。

 

あと、水分の95%も小腸で吸収されています。ちなみに、胃ではアルコールと薬剤が吸収されていて、大腸では小腸では吸収しきれなかった水と電解質が吸収されています。

 

ここからは3大栄養素がどう吸収されるのかを説明します。

 

炭水化物はそのすべてを単糖類(グルコース、ガラクトース、フルクトースなど)に分解されてから吸収されます。単糖類に分解する消化酵素は小腸自身が持っています。吸収された単糖類は血液に入って、門脈を経て肝臓に送られ、そこで使われるなり蓄えられるなりします。

 

タンパク質はほとんどがアミノ酸まで分解され、その形で吸収されます。アミノ酸が主に吸収されるのは回腸の上部であると言われています。アミノ酸に分解されなかった一部のたんぱく質はポリペプチドやジペプチドの状態で吸収されます。そして、細胞に入ってからアミノ酸に変わります。そして、単糖類と同様に門脈を経て肝臓へと送られます。

 

脂肪は少し厄介です。まず脂質はリパーゼによって「モノグリセリド」と「脂肪酸」の2つに分解されます。それに胆汁酸が胆嚢から分泌され、ミセルを形成します。ミセルは吸収を促進するためにみんな(モノグリセリド、脂肪酸、胆汁酸)が合体したものであると考えるとわかりやすいです。

 

そうして小腸管壁の絨毛の近くまで行くと、モノグリセリドと脂肪酸だけは拡散によって小腸の細胞に吸収されます。これはこの2つの濃度が小腸の細胞の方が低いためにそちらに行く力が働くからです。

 

吸収されたら2つはまた合体して中性脂肪となります。中性脂肪は小腸の細胞内で様々な物質とまた合体してカイロミクロンという物質になり、血液に送られます。

 

以上が小腸での三大栄養素の吸収です。