膵癌とは、膵臓と臓器の膵管上皮あるいは膵実質細胞から発生する癌のことを言います。

 

膵臓とは、食べ物を消化する膵液を作り、十二指腸に送り出す働きをしています。

膵臓の働きと機能

 

また、血液中の糖分の量を調節するインスリンというホルモンを作り、血液の中に送り出す働きもしており、体の中心部、やや背中側にあります。

 

膵癌は高齢者に多く、70歳以上の男性に多いと言われます。

 

現在、増加傾向(食道癌とほぼ同頻度)で、年間死亡数は約2万人弱といわれており、この30年間で約3倍に増加しています。

 

 

膵癌の症状

初期で比較的多いのは『なんとなく胃の具合が悪い』などの腹部不定愁訴と呼ばれる、よくわからない違和感程度の症状です。

 

症状として自分でもはっきりと分かる初発の症状は腹痛と黄疸が主です。そして癌に共通の症状である体重減少は、膵癌の場合は他の癌と比べて早期から、また体重の減り方も早いと言われています。

 

膵癌による腹痛は持続性の心窩部(胸の中心部)から背部痛を認めます。Chest-knee-positionといって膝を抱える体育座りのような体位を取ると軽減するという特徴があります。

あまりの痛みのため、疼痛軽減にモルヒネを投与する事もあります。

 

また、膵癌による黄疸(皮膚が黄褐色になる症状)ですが、これは膵臓の腫瘍が肝臓から生成された胆汁という消化液の通路である胆管を圧排することで流出路を塞いでしまい、血中に逆流する事で全身の皮膚色が黄褐色になる症状です。

 

これを閉塞性黄疸といい、膵頭部の膵癌では腹痛より黄疸のほうが初症状となることが多いです。このように十二指腸に近い部分に発生する膵癌のほうが症状の出現が早く早期発見できることで予後が良い傾向があります。

 

 

同様に膵臓の腫瘍が胆嚢を圧排することで胆嚢が腫れて触れるようになる(しかし痛みはない)タイプに腫脹するCourvoisier徴候というサインも特徴的です。

 

そして膵臓は体内の内分泌機能を調節する臓器ですから、ホルモンバランスが崩れる事で、体重減少、脂肪性下痢、口渇、多飲、多尿などもあります。糖尿病の方が、急に血糖値のコントロールが悪くなって調べたら膵癌というのは糖尿病科の医師から時々受ける紹介理由です。

 

また、転移先としてはすぐそばにある肝臓、それからリンパ節、肺の順番に多くなっています。

 

 

膵癌の検査、診断

まずは血液検査で膵機能関連の値をみます。アミラーゼという酵素の数値に異常を示し、黄疸の症状が出る頃にはビリルビンが上昇します。膵癌が悪化してインスリンの分泌に異常が出ると、血糖値が上昇してきます。

 

また腫瘍マーカーといって悪性疾患が特徴的に生成するタンパク質を測定するのですが、CA19-9、CEAといった値が上昇します。これらは治療効果の判定にも利用出来ます。

 

腹部超音波も膵癌のスクリーニングとしてはとても有効な検査です。近年は2cm以下の膵癌でもエコーによって約80%は腫瘍像を確認する事が出来ます。膵臓の尾側の膵管というクダがあるのですが、膵癌の時はこのクダが拡張するという特徴があります。

 

腹部CTスキャンやMRIも重要な検査で、膵臓腫瘍部分の腫大が認められたり、肝臓やリンパ節転移の確認もできます。

 

また、上部消化管内視鏡の中でも特殊な検査であるERCP(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography)内視鏡的逆行性胆道膵管造影も有効です。

 

内視鏡(胃カメラ)を入れ、その先端から膵管の中にカテーテルを挿入し造影すると、膵管の不整な閉塞や狭窄が見られます。

 

 

膵癌の治療

診断技術が進んできたといっても、膵癌は診断時に既に進行がんであることが多く、あらゆる集学的治療が試みられます。手術で切除可能な症例は35〜45%であり、残りは根治手術不能な例です。

 

切除可能例では、拡大手術+術中放射線照射+術後化学療法を行います。

 

術式は、膵頭癌では膵頭十二指腸切除術を行います。これは膵頭部切除術、胃亜全摘、十二指腸全摘術、総胆管切断、胆嚢摘出とう外科領域の手術でも大きな手術となります。

 

 

膵癌の予後について

前述のように膵癌は非常に予後の悪い疾患です。局所再発と肝転移が膵癌の予後を決定しており、根治手術を施行できた膵頭部癌の5年生存率約18%、stage1でも約40%となっています。

 

また、症状が早めに出現し早期発見できるというポイントで、膵頭部癌、膵体部癌、膵尾部癌の順に予後が良いと言われています。