食道癌とは

食道の上皮細胞に発生する悪性腫瘍を食道癌といいます。癌の中でも予後の悪い疾患であり、比較的早期から広範囲にリンパ節転移を起こしてしまうので、早期発見と早期治療が非常に重要な疾患となっています。

 

60歳以上の男性に多く、男女比は5:1となっています。

 

年間死亡数は約1万人程度と報告されています。

 

誘因は様々いわれていますが、加齢、喫煙、高濃度のアルコール、高塩食、熱い食事の常用など、いわゆる暴飲暴食をする方は食道癌のリスクが高いと言われています。

 

これは、喫煙、多量のアルコール、刺激物の飲食は食道粘膜を刺激する事で発癌リスクを高めると考えられています。

 

 

また、Barret食道や食道アカラシアという食道粘膜病変を有している場合は、癌変位する可能性が高くなっています。

 

好発部位は食道中部、食道下部、食道上部の順になっています。

 

 

少し専門的になりますが、病理学的な解説をしますと、組織系は扁平上皮癌が95%となっており、約5%の確率で稀ではありますが腺癌が発生します。これは食道上皮が主に扁平上皮で構成されているからです。

 

そして浸潤度が重要なのですが、表在癌といって癌浸潤が粘膜下層までのもの、早期癌と定義される癌浸潤が粘膜層までのものに定義されます。前述のようにあっという間に全身に遠隔転移する疾患ですのでこの段階で早期発見できると治癒率は高くなります。

 

 

食道癌の症状

食道癌が癌の中でも予後が悪いので、早期発見のために、初期症状の特徴の把握が大切になってきます。

 

まずは、『のど元がわずかにしみる』とか『飲み込んだ時に物が通る感じ』であったり『わずかな前胸部痛を感じる』などの症状を訴えます。

 

そして、これらの訴えが恒久的ではなく、時々消失するのが特徴です。ここで早めに病院を受診し、早期発見につなげる事が重要です。

 

これが進行がんに発展していくと、食事中に特に固形物を飲み込むのが困難になり嚥下困難の症状を訴えます。食事がまともにとれない事に加えて、悪性疾患に特有の体重減少を示します。

 

また、嗄声(させい)といってシャガれた声になることがあります。これは食道に接して反回神経という声帯に関与する神経障害が起こります。

 

そして食道気管瘻といって食道粘膜が侵される事で気管を障害し、本来清潔臓器である気管、気管しに感染を起こし肺炎を合併します。さらに気管を浸食していくと気管の狭窄して呼吸障害に発展する事もあります。

 

 

食道癌の検査、診断

主に食道の造影と、内視鏡検査および内視鏡検査時の生検によって診断されます。

 

造影検査は血管造影検査を用いてX腺で食道粘膜の辺縁不整な陰影欠損を認めて診断します。

 

また内視鏡検査では、ルゴール液という特殊染色検査を用いて診断します。食道正常粘膜はルゴール液に染色されるのですが、癌病変になると染まらない、という特徴があります。

 

そして、不染領域を狙い組織検査し、最終的には病理診断にて食道癌の確定診断に至ります。

 

 

食道癌の治療と予後に関して

進行癌では、手術療法、放射線療法、化学療法、場合によっては免疫療法なども取り入れていきます。

 

早期食道癌である粘膜癌では、外科手術ではなく内視鏡的粘膜切除術(EMR; endoscopic mucosal resection)を用いて内視鏡で病変を切除してしまいます。

 

そしてPDT(photo-dynamic-therapy)といってアルゴンダイレーザーによる焼灼治療を使います。また放射線療法を併用していく事もあります。

 

粘膜下層以上に進展してしまっている場合は、切除可能であれば手術が第一選択となります。術式は病巣部を含めた食道切除術+リンパ節郭清術+再建術(胃を食道部位に持ち上げ食道の再建を行います)。

 

さらに切除不能な進行食道癌になると、放射線療法と化学療法を併用していく事になります。

 

外科手術の中でも高度な手術になりますので、合併症に注意する必要があります。

 

 

食道がん手術後の合併症

合併症には早期合併症と、術後しばらく立ってから起こる晩期合併症があります。

 

早期合併症は肺炎や、無気肺といった肺合併症です。ついで不整脈や頻脈、ショックなどの循環器系の合併症、前述の反回神経損傷、縫合不全などです。

 

そして術後2〜3週間たって起こる晩期合併症には吻合部狭窄症といって食道切除部分と胃の吻合部が炎症性に狭窄してしまうこと、そのために起こる逆流性食道炎、さらに再発症例として頸部や胃への進展に注意する必要があります。

 

仮に、切除可能例であっても5年生存率では30%前後と低い数値になっています。

 

早期癌であれば5年生存率では85%程度と言われていますので、いかに早期発見が重要な疾患かがわかります。