肝炎とは肝細胞に炎症が起こり、正常な肝機能が保たれなくなる状態をいいます。

 

一般的に急激に発症する急性肝炎と、持続する肝炎が慢性化する慢性肝炎とに分かれ、それぞれに治療法などは異なります。

 

 

急性肝炎

肝細胞内で増殖する肝炎ウイルスにより、肝細胞に急性炎症性病変を来す疾患です。肝炎ウイルスとしては、主にA・B・D型肝炎ウイルスが急性肝炎を来します。我が国では年間約30万人程度が罹患します。

 

散発性急性肝炎と輸血後急性肝炎に分けられ、散発性急性肝炎ではA型肝炎によるウイルス性肝炎が最も多く、全体の40〜50%を占めます。次いでB型肝炎によるウイルス性肝炎が25〜30%を占めます。

 

 

急性肝炎の症状

前駆期、黄疸期、回復期の3段階に分かれます。前駆期はインフルエンザ感染症にかかった時のような症状で、全身倦怠感、不定消化器愁訴、発熱、筋肉痛などです。

 

肝炎の方は、腹痛があることもありますがない場合も多いです。だるさは普通の熱よりもかなり気怠い感じがすると仰られる方が多いです。

 

黄疸期になると、黄疸、皮膚掻痒感、肝腫大が見られます。そして回復期には、これらの全身症状の改善が認められます。

 

 

急性肝炎の検査、診断

血液検査では、肝細胞が破壊されることでAST、ALTといった肝酵素の上昇を認めます。そして肝胆道系の数値であるビリルビンやγ-GTPといった数値も上昇します。また、血液凝固能の異常も認められます。

 

血液の検査を行えば、肝炎になっているかどうかはすぐ分かります。しかし、風邪症状と間違われることも多く、検査されずに数日経ち肝臓の数値がとても高い(時に4桁)という方も多いです。

 

急性肝炎の原因を調べるための検査を、その後行います。そしてウイルス性肝炎が主な病態になりますので、肝炎ウイルスマーカーも陽性を示します。

 

さらに、肝細胞を直接生検することで肝細胞の変性、壊死を見ることが出来ます。

 

 

急性肝炎の治療

治療は一般的に保存療法といった対症療法(安静と栄養補給)が基本になります。

 

肝病変は、肝炎ウイルスそのものによるものではなく、宿主の免疫応答に関連して起こってくるので、薬物療法は肝細胞庇護を目的とした対症療法にとどまります。

 

 

劇症肝炎への移行

急性肝炎は前述のように、多くは自然軽快治癒してしまうのですが、1〜2%は劇症肝炎という重症型に移行します。我が国での年間発症例は約800例であり、年々減少傾向にあります。これは急性肝炎を診断した段階で劇症化する前に治療がしっかり行われているからです。

 

原因は、ウイルス性肝炎だけでなく、薬剤性肝炎や血流障害が原因となることなど多彩です。

 

症状は急性肝炎のような軽症ではなく、重度肝機能障害、さらには意識障害を伴います。そしてDIC(播種性血管内血液凝固症候群)、腎不全、脳浮腫、感染症、消化管出血を併発し、死亡するリスクも高くなります。

 

治療は全身集学的治療が必要で、肝庇護剤、ステロイド剤、脳浮腫改善薬を投与し、最終的には肝移植も必要になります。

 

生存率は30%弱と言われており、劇症肝炎に発展した場合はきめ細かい全身管理が必要になります。

 

 

慢性肝炎

急性肝炎に対して、炎症が持続し6ヶ月以上続く病態をいいます。潜在性に発症しており、慢性肝炎となって初めて診断されるものと、急性肝炎から移行するものとがあります。我が国での慢性肝炎の原因としては、約70%強がC型肝炎ウイルス、約20%がB型肝炎ウイルスとなっています。

 

症状はあまり自覚症状が無いことが多く、診断の手がかりとなることは少ないです。

 

診断は急性肝炎と同様で、血液検査で肝酵素、肝胆道系の数値の異常を認めます。

 

確定診断は肝炎ウイルスマーカーと、肝生検による組織所見によってされます。

 

治療は、原因となっている肝炎ウイルスマーカーの数値を抑制していきます。

 

B型慢性肝炎の場合は、免疫療法、インターフェロンなどの抗ウイルス薬、グリチルリチン製剤などの肝庇護剤を使用します。C型慢性肝炎の場合も同様に、インターフェロンなどの抗ウイルス薬、グリチルリチン製剤などの肝庇護剤を使用しますが、瀉血といって血液を外部に排出させる治療法も以前はなされていましたが、近年はあまり行われていません。

 

最近では、C型肝炎の治療は非常に進歩しており、10年前の治療とは雲泥の差です。しかし、専門的な治療になるため、専門家以外の方や開業医ではその治療の認知は遅れている可能性もあります。そのため、必ず消化器内科を受診するようにしてください。