肝臓がんは発生部位によって3つに分類されます。

①肝細胞がん
②胆管細胞がん
③混合型

に分かれますが、我が国では95%は肝細胞がんです。

 

悪性腫瘍の中での肝細胞がんの死亡順位は男性3位、女性5位で増加傾向にあり、C型肝炎に由来する肝細胞がんが増加しています。

 

肝臓がんの年間死亡数は約3万9000人といわれており、原因の90%は肝炎ウイルスとなっています。肝炎ウイルスの内訳を見てみますと、C型肝炎ウイルスが約75%、B型肝炎ウイルスが約15%でこの二つで90%を占めます。近年はC型肝炎ウイルスによるものが増し、B型肝炎ウイルスは相対的に減少しています。アルコール性も3〜4%ほどを占めます。

 

肝細胞がんの約90%が肝硬変を合併し、ウイルス性肝炎→肝硬変→肝臓がんへと進展していきます。肝硬変からの年間あたりの肝臓がんへの移行率はC型肝炎ウイルスで約5〜7%といいます。B型肝炎ウイルスで約3%といわれ、B型肝炎ウイルスの方がC型肝炎ウイルスより5〜10年程度、若年で発癌するといわれています。

 

また、肝臓がんは日本を含む東アジア、南アフリカに多い疾患で、欧米は我が国の30〜50分の1程度とかなり少なくなっています。

 

 

肝臓がんの症状

肝臓がんは自覚症状に乏しく、癌が進行して、初めて腹水、黄疸が出現することが多くなっています。癌が進行してくると、全身倦怠感、右季肋部痛、腹部膨満感、発熱、腹痛、進行すると腹腔内出血(血性腹水)から出血性ショックに至ることもあります。

 

また、肝臓がんは腫瘍随伴症候群といって多彩な症状を示します。インスリン様物質が産生されるため、低血糖症状を示したり、高コレステロール血症、高カルシウム血症、血小板増加症、多血症などを示します。

 

 

肝臓がんの検査、診断

約90%は肝硬変を母体として発生するので、それに相当する肝機能障害が起こります。血液検査では肝酵素が高度に上昇し、腫瘍マーカーといわれる悪性腫瘍が発生させる特有のタンパク質を測定すると、PIVKA-Ⅱ、AFPといった値が上昇します。

 

また、腹部超音波検査は早期発見に最も重要な役割を果たしています。微小管細胞がんの検出に有効で、1cm程度の肝細胞がんの発見も可能です。この際、カラードプラエコーといって血流をみれる条件では肝細胞の癌細胞の中に入り込む血流を描出できます。

 

腹部CT検査では特に血管造影検査が有効で、肝細胞がんの場合、癌細胞に動脈血流が増加するため特異的な所見として示されます。

 

画像検査で確定診断に至らない場合は、肝生検で病理診断します。

 

また、門脈を介して肝臓内で転移を繰り返したり、血行性に肺への転移を示すことがありますので、全身の画像検査で転移を検索しておくことも重要です。

 

 

肝臓がんの治療に関して

治療は腫瘍の状態や背景、肝機能、実際に治療する施設の治療手技の習熟度を加味して決定します。

 

肝細胞がんは単発、あるいは多発性であったとしても限局していれば外科切除を行います。ただし、重要な代謝臓器として肝臓は全摘することは出来ないので、主に区域切除を行います。

 

病変範囲が広い場合は、肝移植術も考慮します。近年では欧米の成績では肝移植後の5年生存率は60%にまで増加しています。

 

また、微小肝がんに対しては。経皮的エタノール注入療法(PEIT; percutaneous ethanol injection therapy)といい、皮膚からカテーテルを挿入し、直接肝細胞がんに対してエタノールを注入し癌細胞にダメージを与える方法もあります。

 

そして近年では、マイクロ凝固療法といって超音波凝固で腫瘍を治療したり、ラジオ波焼灼療法といって腫瘍細胞を焼灼壊死させる方法もあります。

 

局所的な根治療法が適応にならない時は経カテーテル的肝動脈塞栓術(TAE; transcatheter arterial embolization)で肝細胞がんの栄養血管である肝動脈末梢枝をゼルフォルムなどの塞栓物質で閉塞させます。また、選択的肝動脈内制癌薬注入療法といって、同様のカテーテルから化学療法で抗がん剤を直接注入する方法もあります。

 

肝細胞がん切除後の再発率は他の癌より高く、3年後の再発率は50〜60%といわれ、切除してもまた新たに肝細胞がんが発生してきます。

 

肝臓がんは肝硬変に比べて生命予後が明らかに短いこと、例え肝切除にて肝がんを切除できても基礎疾患に肝硬変がある為に、他の悪性腫瘍に比べて再発率が高いこともあり、患者への告知は極めて慎重にする必要があります。