胃潰瘍、十二指腸潰瘍とは

胃潰瘍の総患者数は80万人、十二指腸潰瘍は20万人を超えると言われており、一般的にも良く知られている疾患です。

 

胃潰瘍、十二指腸潰瘍とは、消化管の粘膜の病変です。粘膜とは胃や十二指腸の食べ物が通過する部分に接する面のことをいいます。

 

少し専門的な医学知識になりますが、潰瘍を理解するには消化管粘膜の構造を把握する必要があります。

 

胃や十二指腸の粘膜は何層にも別れるのですが、食物が接する面から順番に粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜といい、この漿膜が消化管の外側の壁です。

 

この何層にも別れる消化管の壁の粘膜筋板を超えて組織が欠損すると潰瘍という定義になります。

 

本来、胃や十二指腸は食物が通過するため、粘膜で強くバリアーされている状態です。

 

ここのバランスが崩れると、粘膜組織が傷ついたり、損傷して潰瘍になってしましいます。

 

 

胃腸の粘膜組織が傷つき潰瘍ができる原因

原因としては、一般的にはアルコールやストレスが一番多いと言われています。

 

ストレスがかかりすぎると、胃の粘膜を防御する因子よりも、胃の粘膜を攻撃する因子の強さが勝ってしまうので粘膜を傷つけてしまいます。

 

また薬剤性のものもあり、いわゆるNSAIDSといわれる鎮痛剤を多量に服用し続けると、胃潰瘍を発生するといわれています。NSAIDSは比較的強い鎮痛剤なので、これまでは医師の処方箋が必要だったのですが、近年ロキソニンとかボルタレンといった商品名で一般の薬局やドラッグストアーなどでも販売されていますので、副作用には注意が必要です。

 

他には、ヘリコバクター・ピロリという細菌も潰瘍の発生原因になるといわれています。ピロリ菌により炎症が発生して、胃粘膜障害がおこります。また、ピロリ菌は胃がんの発生とも関連すると言われています。

 

 

胃潰瘍、十二指腸の好発年齢、具体的な症状は

好発年齢は胃潰瘍は40〜60歳、十二指腸は20〜40歳と言われており、十二指腸潰瘍のほうが比較的若い世代に多いです。

 

一般的な症状としては心窩部痛といって胃や十二指腸がある胸とお腹の間の中心部分にキリキリとした痛みを感じます。胃潰瘍の場合は食後、十二指腸潰瘍は空腹時に発生する事が多いです。

 

他には、胸焼け、悪心などがありますが、潰瘍が悪化し、症状が重症化すると吐血することもあります。

 

吐血や腹痛などの症状が目立たず、下痢症状のみで出てくることもあるため要注意です。

 

さらには潰瘍がどんどん進行すると前述のような粘膜の層を突き破ってしまい消化管穿孔という生命にリスクを生じる状態になり得ます。

 

このような症状があると医師は消化管潰瘍を疑いますが、最も診断に有用な検査は胃カメラといわれる内視鏡検査です。

 

口から、あるいは径鼻内視鏡といって鼻から先端にカメラの着いた内視鏡を消化管の中に挿入し、粘膜病変を直接確認します。

 

胃カメラで検査すれば、消化管の粘膜病変ははっきりと確認出来ますので、潰瘍の程度や出血の有無、穿孔する寸前まで重症化していないかを見る事が出来ます。

 

ただし、この検査は消化器科医または消化器外科医にしか行うことができないため、いざ検査を実行するまでにハードルがあり、発見が遅くなってしまう方が時々いらっしゃいます。そのためこの病気を疑ったら、胃カメラができる場所を受診することがおすすめで、病院のHPに書いてあることが多いので確認してみてください。

 

 

治療方法

まずは安静にし、できるだけストレスから開放してあげる事が重要です。仕事や職場でのストレスが原因で胃潰瘍や十二指腸潰瘍になっていると考えられる時は、特に重要になります。

 

またアルコールや刺激物も消化管粘膜を傷つける因子になりますので、これらを摂取する事を控える必要があります。

 

薬物療法では消化管粘膜の攻撃因子を抑制するタイプと、粘膜の防御因子を強めるタイプがあります。

 

攻撃因子を抑制するタイプはH2ブロッカーといって胃粘膜を攻撃する胃散を抑えるお薬を使います。代表的な一般市販薬ではガスターなどがあります。

 

また、これは医師が病院で使用する場合が多いですがプロトンポンプ阻害薬といって、これも胃酸分泌を抑制する効果があります。

 

他に、消化管粘膜の防御因子を強め、粘膜保護をするお薬もあります。こういったタイプの薬効は市販の胃薬に多く含まれています。

 

出血や穿孔など、薬物療法のみでは対応出来ない場合、特に胃潰瘍や十二指腸潰瘍が原因で吐血して救急受診するような患者さんに対しては緊急内視鏡で直接、潰瘍の出血点をクリップで止めたり、穿孔まで病状が進行している場合は外科で緊急手術になる場合もあります。

 

 

胃潰瘍や十二指腸潰瘍にならないためには

普段の生活であまりストレスを貯めすぎないようにする事が重要です。ストレスがたまっているなと感じたら仕事を休むなどある程度の休息をとるといいでしょう。

 

また、刺激物やアルコールなど、潰瘍の発生原因になるような暴飲暴食はつとめて抑えるように普段から注意が必要です。