ネキシウム(esomeprazole)とは、逆流性食道炎や胃潰瘍など胃酸が多く出すぎたことによる諸症状を改善するためのお薬です。また、ピロリ菌の除菌の際に抗生物質の効果を高めるために補助目的の併用薬として使用されています。

 

ネキシウムの有効成分は、エソメプラゾールというもので、オメプラゾール(商品名:オメプラゾン)を改良したものです。

 

オメプラゾールは服用する人によって効果に差があると言われていますが、エソメプラゾールはその点が改良されていて、多くの人に同様に効果をもたらすと考えられています。さらに効果発現時間が短いというメリットもあります。

 

 

ネキシウムの作用機序

胃には胃酸と呼ばれる消化酵素がありますが、胃酸を分泌させるためには、胃の細胞膜に存在するそれぞれの受容体に、受容体を刺激する物質(ヒスタミン、アセチルコリン、ガストリン)が結合する必要があります。

 

これらの受容体を刺激すると、最終的に胃の細胞壁から胃酸の分泌細管腔にH+を放出し、Cl-と結合し、HCL(塩酸、つまり胃酸)が分泌されます。このH+を放出する際には交換としてK+が細胞に取り込まれます。

 

この機構のことをプロトンポンプと呼んでいます。ネキシウムはこのプロトンポンプを阻害することによって、胃酸の分泌を抑制し、胃の保護をしています。

 

 

ネキシウムのエビデンス

■逆流性食道炎

1.逆流性食道炎患者を対象として、オメプラゾール20mg、エソメプラゾール20mgあるいは40mgを、1日1回8週間投与し、8週時の治癒率を比較する二重盲検比較試験が実施されています。

以上の結果から、非劣性が証明され、もともと効くことが分かっていたオメプラゾールに比べても、ネキシウム(エソメプラゾール)が同じように効果があることが示されました。

 

2.逆流性食道炎の治癒患者を対象として、オメプラゾール 10mg 、エソメプラゾール 10mg 及び 20mgを1日1回投与し、24週時の逆流性食道炎の再発抑制効果を比較する二重盲検比較試験が実施されています。

以上の結果から、エソメプラゾールの再発抑制効果が、オメプラゾールよりも高いことが証明されています。そのため、逆流性食道炎に対しネキシウムの保険が通っています。

 

ネキシウムの消化管潰瘍に対する効果

■ネキシウムによる、NSAIDsとの潰瘍予防について

消化性潰瘍の経験があり、NSAIDsを継続服用している患者を対象として、エソメプラゾール20mgあるいはプラセボを、1日1回投与し、24週時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍を評価する二重盲検比較試験が実施されています。

プラセボに比べ、発症率が有意に少なかったという結果です。以上の結果より、エソメプラゾールのNSAIDs継続服用患者に対する消化性潰瘍の発症予防が証明されています。

 

■ネキシウムのアスピリンとの併用について(アスピリン潰瘍予防について)

心筋梗塞や脳梗塞、狭心症などのために低用量アスピリンを服用されている方は、非常に多くいらっしゃいます。

 

消化性潰瘍の経験があり、低用量アスピリンを継続服用している患者を対象として、エソメプラゾール20あるいはプラセボを、1日1回投与し、48週時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍を評価する二重盲検比較試験が実施されています。

以上の結果より、エソメプラゾールの低用量アスピリン継続服用患者に対する消化性潰瘍の発症予防が証明されています。

 

ネキシウムの副作用

比較的多い副作用は、肝酵素上昇、下痢・軟便(19.9%)、味覚異常 (7.8%)があります。

 

その他の副作用としては、以下の通りです。

 

ネキシウムとタケプロンとの比較

タケプロンとネキシウムを比較した場合、実はそれほど効果に差はありません。

 

例えば、逆流性食道炎に関して、タケプロンの臨床試験成績を確認してみますと、タケプロン30mgを2~8週間投与し、8週時における逆流性食道炎の治癒率は92.4%(61/66例)と報告されています。ネキシウムの場合は90%前後であるため、差があるということはできません。(直接比較ではないです)

 

薬価について、タケプロン30mg:140.3円/1カプセル、ネキシウム20mg:145.1円/1カプセルであるため、差はほぼありません。

 

半減期については、少し差があります。タケプロンは3~4時間、ネキシウムは1~1.5時間です。ネキシウムの方が、半減期が短いため、キレの良い薬ということができます。つまり薬が体内に留まっている時間が短いため、副作用の発現の可能性が低いということです。

 

 

ネキシウムとほかの胃薬(PPI以外)との比較

胃薬には、プロトンポンプ阻害剤以外に、胃の粘膜を保護する薬、制酸剤、胃酸の分泌を抑える薬(H2ブロッカー)があります。単純に胃酸から受けるダメージを少なくするということを比較した場合、効果の強いものから順に、プロトンポンプ阻害剤、H2ブロカー、胃粘膜保護薬・制酸剤となります。

 

プロトンポンプ阻害剤は、胃酸の元となるH+の放出を抑制するための、最も強力なお薬です。

 

プロトンポンプ阻害剤は、確かに強力な効果を持っていますが、その反面急にやめることで、かえって胃酸過多を引き起こしてしまう可能性があります。したがって、中止する場合は、H2ブロッカーに変更してから中止することもあります。

 

年齢や症状に違いがありますので、単純に効果の強いもの=良いお薬ということはできません。症状にあわせた胃薬を服用する必要があります。