お子さんが急に下痢をしたりすると心配ですよね。自分で症状を伝えられない分、周りの大人の冷静な判断と適切な対処が重要となってきます。
大人では下痢の時にヨーグルトを食べると良いこともあるのですが、小さなお子さんの場合はどうなのでしょうか?
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乳幼児や1歳くらいのお子さんが下痢をするのはどんなとき?
乳幼児(特に乳児)は健康なときでも基本的に便はゆるいものです。また1日に何度も便をすることは珍しいことではありません。そのため下痢と判断するのはなかなか難しいのです。実は明確な定義は専門家の間でも決まってないのだとか。
明らかに普段の便より水分量が多い便が1日に6回以上あると下痢の可能性が高いようです。
しかし乳幼児の便は個人差もありますよね。そこで便をしっかりと観察することが重要となります。毎日きちんと便の性状を観察しておくことで、異常を早く見つけられます。乳幼児の起こす下痢の原因はあまり多くなく、怖いものもあまりありません。
まず考えられるのはウイルスや細菌による感染性胃腸炎です。
俗にお腹の風邪と言われているもので、胃腸でウイルスや細菌が増殖することでおこります。またお腹以外の場所への感染症でも下痢を引き起こすことがあります。
扁桃腺炎(へんとうせんえん)、肺炎、中耳炎、尿路感染症(にょうろかんせんしょう)、突発性発疹(とっぱつせいほっしん)なども原因に挙げられます。特に突発性発疹は発熱以外の唯一の症状が下痢だと言われています。
また抗生物質を使ったことにより下痢になりしばらく続くこともあります。
これらは急性下痢と呼ばれ3~5日ほどでほとんどが治ります。それ以上続く場合は慢性下痢の可能性が高くなります。
慢性下痢の原因で考えられるのは、母乳で育てられているということです。母乳のみで育てられている乳児は形にならないゆるい便が続き、ときには水のような便をすることもあります。
しかしこれは母乳に含まれるビフィズス菌が乳児の腸で正常に働いている証拠なので、病気ではなく全く心配することはありません。
慢性下痢の病気として最も多いのは二次性乳糖不耐症(にじせいにゅうとうふたいしょう)というものです。これは胃腸炎などに1度かかった乳幼児によくみられます。
胃腸炎にかかると腸の粘膜が傷つきます。腸の粘膜には乳糖という物質を分解する酵素があるのですが、粘膜が傷ついたためにその酵素が少なくなってしまい、飲んだミルクを上手く分解できないために下痢になってしまうのです。
下痢にヨーグルトを食べると改善効果はあるの?おすすめの食べ方は?
この状態になっても母乳の場合は続けてOKです。しかしミルクの場合はミルクの成分を確認し、乳糖の含まないミルクに変えて様子をみてください。他には果汁の飲み過ぎやイオン飲料の飲み過ぎでも下痢が続くことがあります。
お子さんが下痢の時はヨーグルトは食べちゃいけないの?
お子さんが下痢のなったとき、何をどのように食べさせたらいいか分からないと慌ててしまいますよね。
離乳食を食べているなら様子を見ながらいつもと同じものを少しずつ食べさせてあげれば大丈夫です。離乳食が完了しているお子さんなら、大人が下痢をしたときに食べるとよいと言われている消化の良いものを少しずつ食べさせてあげましょう。
お粥やうどん、スープなどで大丈夫です。
しかし、大人は腸内環境を整えるためにヨーグルトを食べることもありますが、乳幼児は下痢の時はヨーグルトを含む乳製品は控えた方が良いと言われています。
乳幼児は大人に比べて乳糖を分解する機能がまだ未熟です。乳糖不耐症ではなかったとしても、普段より腸が弱っている状態の時にヨーグルトを消化吸収するのは、お腹への負担になり下痢を長引かせてしまうかもしれません。
下痢症状がない時にヨーグルトの効果で腸内環境を正常に保ち下痢になりにくいお腹を作ってあげましょう。
ヨーグルト以外にも気をつけることはある?
乳幼児が下痢をしている時に気をつけることも基本的には大人と同じです。
水分補給をこまめに行い、脱水に気をつけます。腸への刺激を抑えるために少量の水分を何度にも分けて飲むように心がけてください。
食べ物も便の性状に合わせて変えます。水っぽい便の時は水分の多い食事(お粥やスープなど)を食べるようにし、泥のような状態になれば柔らかいものを食べても大丈夫といった感じです。
食べやすいようにリンゴをすりおろして食べさせたりバナナをつぶして食べさせてはどうかと考える方もいるかもしれませんが、すりおろしたリンゴやバナナのヌルヌルの部分には食物繊維が豊富に含まれていると言われています。
食物繊維の多い食事は下痢の時は避けるべきです。リンゴならすり下ろさずに果汁を搾って飲ませてあげた方がよいかもしれませんね。
柑橘系(かんきつけい)の果物や糖分・脂肪分を多く含む食品も避けましょう。なるべくお腹を冷やさないように心がけることも大切です。
乳幼児だからこその対処のポイントは?
大人と乳幼児で1番違うところは「乳幼児は自分自身でコントロールすることができない」ということです。
下痢の時は食べ物を控えめにするべきなのですが、子どもは美味しいとどんどん食べてしまいます。子どもは大人よりも食欲が旺盛で回復が早い分、勢いで食べてしまうこともあります。
食べ過ぎて腸を刺激してしまえば、いくら消化の良い物を食べていてもまた下痢を繰り返してしまう可能性があるので、食事の質はもちろん量にも大人が十分配慮してあげる必要があります。
しかし食欲のない場合も多いと思いますので、上に挙げたことに気をつけたうえで「食べられそうなものを食べる」ということでも大丈夫です。
まとめ
お子さんが下痢をすると早くなんとかしてあげたいと思いますよね。
でも乳幼児の下痢の原因はそれほど怖いものは少ないので、まず落ち着いて便の状態を観察し原因を考えてみましょう。
感染性の胃腸炎が原因であるならば速やかに病院へ連れて行ってあげる必要がありますが、母乳や食べ物が原因であるならば対処方を知った今なら落ち着いていられますよね?
大人には有効なヨーグルトも下痢の時のお子さんの腸には負担となってしまうということも分かりました。お子さんは大人と違って「自分の症状を上手く伝えられないしコントロールできない」ということを常に意識して接してあげてください。