子宮外妊娠は、診断と治療が遅れると命に係わる病気で、腹痛の症状で女性を見たら、必ず考えなければいけない疾患です。

 

子宮外妊娠がどのような病気か。まずは、受精のメカニズムについて説明していきます。

 

卵子は卵巣から出されて、卵管膨大部で受精し、子宮体部に輸送されます。ここで着床し、正常妊娠となるのですが、子宮外妊娠とは本来は、子宮体部に着床すべき受精卵がそれ以外の部位に着床した状態で、全妊娠の1%で発生します。

 

最大の原因は、卵管の慢性炎症で、卵管癒着、卵管壁肥厚、線毛損傷などで、受精卵の輸送が障害されることです。クラミジア感染症の波及や、子宮内膜症の患者数の増加、生殖補助医療技術の普及により、本症の発生頻度は増加傾向にあります。

 

生殖補助医療技術では、子宮外妊娠の確率が4%に上昇し、明らかに自然妊娠より確率が上昇します。ART(人工授精)で受精卵を子宮腔に注入する際の圧が高すぎると、子宮を通り越して卵管に送り込まれてしまうから、と言われています。

 

ただし、診断技術と治療技術が飛躍的に進歩しているので、死亡率は数十年前に比べてめっきり低くなっています。

 

またこのような卵管の炎症だけではなく、先天性の卵管奇形があれば本症の誘因ともなります。

 

また、子宮外妊娠は約10%の確率で本症を反復することが知られています。

 

受精卵の着床部位によって卵管妊娠、卵巣妊娠、腹腔内妊娠、頸管妊娠と分けられますが、卵管妊娠が子宮外妊娠の97%を占めます。

 

卵管妊娠は妊娠8週までに中絶に至りますが、その経過には卵管で流産してしまうパターンと、卵管組織に受精卵が着床してしまい、卵管が破裂し腹腔内に大出血を起こしてしまうパターンがあります。

 

 

子宮外妊娠の症状

子宮外妊娠だけでは、ほとんど無症状ですが、その後卵管流産や卵管破裂し症状を訴えます。症状は主に下腹部痛、性器出血ですが、卵管破裂を起こして腹腔内に出血が多量となると出血性ショックに至り生命に危険を及ぼすこともあります。

 

 

子宮外妊娠の検査、診断

まずは婦人科で内診所見をみます。妊娠により増産されるエストロゲンの作用によって子宮は増大しますが、着床していない分だけ妊娠の週数に比べて子宮のサイズはやや小さくなります。また、患部の付属器の腫大と圧痛を認めます。

 

そして、当然ですが妊娠反応は陽性になります。このときhCGという妊娠が成立した時にのみ産生されるホルモンがありますが、これを測定することで妊娠が確定します。

 

ただし、このhCG陽性のみでは正常の妊娠なのか、あるいは子宮外妊娠なのかは確定出来ません。hCGの値がどんどん上昇しているにもかかわらず、子宮内に正常の妊娠像がみられない場合は子宮外妊娠を疑います。

 

子宮内の像は経膣超音波で確認します。正常妊娠であれば妊娠5週には子宮腔内に胎嚢という赤ちゃんのもとになる袋が見えてくるのですが、子宮外妊娠では確認出来ません。

 

さらに週数が進むと胎児心拍等を確認出来るのですが、これらが子宮腔内ではなく、卵管等の子宮外で確認出来た時は、子宮外妊娠が確定します。

 

このとき、既に卵管破裂を起こしているようであればダグラス窩という子宮の後ろ側に腹腔内出血を確認出来ます。

 

この時、鑑別診断として正常妊娠からの流産、正常妊娠ではあるけども排卵日が遅延している場合、卵巣出血、卵巣腫瘍茎捻転などです。また症状だけで判断した場合は附属器炎、虫垂炎なども鑑別の必要があります。

 

 

子宮外妊娠の治療に関して

基本的には手術療法になります。大多数の卵管妊娠の場合は、卵管破裂を起こしていない場合は、卵管温存を選択し、卵管線状切開術を選択します。

 

すでに卵管破裂に至っている場合は、緊急に出血のコントロールも必要であり、卵管切除術を行います。

 

どちらの方法も開腹術と腹腔鏡手術があるのですが近年は体に侵襲の少ない腹腔鏡手術が増えてきています。

 

卵管を切除し出血さえコントロール出来れば術後の経過は良好です。次の妊娠の可能性を心配される患者さんが多いのですが、片側の卵管を切除したとしても、もう片側の卵管が正常に機能すれば正常妊娠を期待できます。