クローン病は炎症性腸疾患として潰瘍性大腸炎ともに特定疾患治療研究対象疾患として指定されている病気です。

 

回腸末端部に好発する原因不明の慢性非特異性肉芽腫性炎症であり、現時点では完全な根治療法がなく、直期治療を必要とし、患者や家族の理解が重要な疾患です。

 

男女比は2:1で男性に多く、欧米に多い疾患となっています。我が国でも毎年、10%程度増加しており、有病率は人口10万人に対して15人とされています。

 

20歳代を中心とする若年成人に多く、家族内発症例がみられ遺伝的関与がある可能性も示唆されています。

 

少し専門的な話になりますが、病理学的にはリンパ球、形質細胞浸潤を主体とする腸管の全層性炎症が起こり、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫という組織的特徴があります。

 

肉芽腫とは、単核食細胞の限局性集合巣のことをいいます。

 

病変は部位により主に、小腸型、大腸型、小腸、大腸型(最多)に分けられます。

 

 

クローン病の症状

典型的症状は、回盲部(小腸と大腸の境界の部分で右下腹部付近にあります)痛、下痢、痔瘻で、痔瘻は得に難治性です。

 

初発症状は、水様性あるいは、無形性の下痢、回盲部を中心とする腹痛が多いです。

 

慢性化すると、貧血、体重減少、腹部腫瘤、内・外腸瘻、腸狭窄や、痔瘻、裂肛、難治性潰瘍などの肛門病変が起こり、血便や粘血便が主症状の潰瘍性大腸炎との鑑別になります。

 

また、消化器症状以外の合併症も多彩で、関節炎、結節性紅斑、アフタ性口内炎、虹彩炎、胆管炎、血栓性静脈炎などがあります。

 

 

クローン病の検査、診断

稀な疾患ではありますが、若い人で慢性の下痢、体重減少、難治性痔瘻、原因不明の発熱や腹痛が長く続いている場合はクローン病も念頭において診断していくことが重要です。

 

診断は臨床所見、消化管造影、内視鏡および消化管生検にて総合的に判断し、確定診断に至ります。

 

血液検査では、白血球やCRPなどの炎症反応の上昇、消化管吸収障害による貧血や低タンパク血症を認めます。

 

消化管造影や内視鏡では、回盲部に好発する非連続性、偏側性病変、縦走潰瘍を来します。クローン病は口腔〜肛門までの全消化管の部位に発生するので、小腸造影では回腸を中止にきちんと精査しないと見逃す危険性があります。

 

そして、消化管の生検では前述のように非乾酪性類上皮細胞肉芽腫という病理学的特徴所見を認めます。

 

クローン病の治療に関して

栄養療法と、必要時に薬物療法を併用していきます。

 

栄養療法は腸管の安静と食事性アレルギー性抗原の除去を目的とした、絶食と経静脈的高カロリー輸液あるいは成分栄養剤による経腸栄養を行います。成分栄養療法は寛解維持、再燃防止にも有用です。

 

薬物療法は、サラゾピリンとペンタサという内服薬での治療が中心になります。サラゾピリンは小腸病変にはあまり有用ではありません。ペンタサは副作用が少なく、小腸のクローン病にも有効です。

 

重症例にはステロイド製剤、アザチオプリンという免疫抑制剤を使用します。ともに難治性症例に使用し、効果発現には数ヶ月を要します。

 

ステロイドの製剤の中でもプレドニゾロンを用います。プレドニゾロンは炎症を抑えますが、組織修復効果は弱く、2週間程度で薬物効果を判定し、長期投与は避けるようにします。膿瘍形成があれば、プレドニゾロンは中止や減量し、外科治療に移行します。

 

また、最近では抗TNFα抗体療法も行います。TBF-αは血管内皮に作用して微小循環障害をわざと引き起こさせることで治療します。

 

回腸末端炎を合併した症例ではビタミンB12の投与が必要になります。

 

腸管の狭窄に対しては、狭窄形成術やバルーン拡張術を行います。

 

生活指導も重要で、肉体的、精神的ストレスが軽減されるように指導していくことも必要になります。

 

予後はあまり良くはなく、病変部を外科切除したとしても、他の消化管からの再発がしばしばみられ、5年再発率は40〜50%とかなり高率に再発します。