サイトテックとはどのような薬か

胃薬というと大きく分けて2種類あります。

 

1つは胃酸を抑える作用のあるもの(ガスターやタケプロンなど)、もう1つは胃の粘膜を保護する作用のあるもの(ムコスタ、セルベックスなど)です。

 

サイトテックも胃薬に分類されており、非常に優秀なお薬です。なぜなら、胃酸を抑える作用と胃粘膜を保護する作用の両方を持っているためです。

 

このようにご紹介しますと、すごく良いお薬とイメージされるかと思いますが、少し残念な(かわいそうな)点もあります。

 

サイトテックは他の医薬品と同様に厚生労働省が臨床試験などのデータから使用を認めた医薬品であるため、保健が適応されます。しかし、サイトテックがもっている適応疾患(使用できる理由と考えてださい)は、「非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与時にみられる胃潰瘍及び十二指腸潰瘍」と限定されています。

 

これ以外の目的で処方した場合、すべて患者さんの自己負担(10割負担)となります。(実際には、保険請求上問題とならないように医師が上手に処方理由をつけてくれていますが)、それでも、NSAIDsがある程度の期間処方されていることが基本的な条件となります。

 

 

サイトテックの作用機序

サイトテックの有効成分は、ミソプロストールと呼ばれるものです。このミソプロストールは、胃の粘膜に存在するプロスタグランジンE受容体に特異的(選択的)に結合します。

 

すると、アデニレートシクラーゼの活性を抑制し、cAMP の増加を抑え、胃酸の分泌を抑制します。さらに胃粘膜の血流量を十分に確保することによって、胃粘膜がもともと持っている胃酸に対する防御機能を高めて、胃粘膜を強力に保護します。

 

 

サイトテックのエビデンス

日本国内で臨床試験が実施されており、そのデータがあります。

 

非ステロイド性消炎鎮痛剤されており、胃潰瘍または十二指腸潰瘍をもつ患者に対して、サイトテックを投与し、胃潰瘍または十二指腸潰瘍に関して、内視鏡判定治癒率及び有用率を見ています。

 

そのデータが以下の通りです。

一見するとそれほど優れたデータのように見えないかもしれませんが、NSAIDsを併用しながら胃潰瘍あるいは十二指腸潰瘍を合併している上でのデータであることを考えると、これは臨床的に効果があるといえるデータなのです。

 

サイトテックの副作用

現在添付文書上で報告されている副作用のうち、重大な副作用はショックアナフィラキシーショック(頻度不明)のみです。

 

その他の副作用としては、下痢軟便腹痛腹部膨満感嘔気食欲不振といった消化器症状、腎臓や肝臓の臨床検査値異常、白血球増加血小板減少などの血液系異常、月経異常月経困難などの生殖器異常も報告されています。

 

実際には、下痢になってしまい続けられないという方が多いなという臨床上の印象があります。(相性が良ければ続けられる方も多いですが)

 

最も注意いただく必要があることとして、サイトテックには併用禁忌があります。それは妊婦あるいは妊娠の可能性がある方に使用してはいけないということです。

 

サイトテックには子宮収縮作用があります。その作用のせいで胎児を押し出してしまい、流産してしまう可能性があるためです。

 

詳細は添付文書を参照ください。

http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00047308.pdf

 

 

ほかの胃薬との比較

サイトテックの作用機序は、胃を守るという点から見ると非常にすぐれていますが、現在のところ使用できる疾患は「非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与時にみられる胃潰瘍及び十二指腸潰瘍」だけです。

 

使用が限定されてはいますが、逆に考えるとこの疾患に対して効果があると言い換えることができます。

 

実際には、NSAIDs潰瘍予防に関しては、サイトテックかPPIが適応で、PPIに合わない方や、長期に使用する方で骨粗鬆症が心配な方(PPIは骨粗鬆症になる頻度がやや高いため)などに使用されます。