全身性硬化症とは、全身性の結合組織病変で、血管障害を中心に展開される炎症性・線維性変化を主体とする疾患で、別名を強皮症ともいいます。

 

明らかな原因は不明で、30〜50歳代の女性に多く、小児にはまれで、特定疾患治療研究対象疾患となっています。

 

年間発生率は人口100万人に対して約5人、患者数は人口10万人に対して約5人と非常に稀な疾患となっています。

 

全身の線維化が特徴であり、腸管も同様に症状が出る可能性のある病気です。逆流性食道炎や便秘、下痢、Bacterial overgrowth、腸管拡張などが起こることが知られています。

 

全身性硬化症の症状

全身性硬化症は初発症状が大切です。

最も特徴的な症状は、90%以上に出現すると言われるレイノー現象といい、一過性の自律神経障害による局所循環障害が起こります。

 

具体的には手指の小動脈の発作性血管収縮による手指の蒼白現象が起こります。寒冷刺激やストレスにより出現すると考えられています。また、四肢末端の浮腫、手指の肥厚やこわばり、不定の関節痛(関節炎もおこる)などがあります。

 

他にも、各臓器別に症状は多彩に出ます。

 

ひとつは、強皮症の名前の由来にもなっていますが、皮膚粘膜症状が出現します。

 

はじめは浮腫期といって、手先から時に体全体が腫れるぼったくなるような症状から始まり硬化期となり硬く固まり、萎縮期となり少し硬さが和らぎます。

 

硬化期には開口障害、皮膚のしわの消失、指先の小潰瘍、色素脱失、沈着、仮面様顔貌、舌小滞短縮などを認めます。そして萎縮期になると、発汗障害、皮下石灰沈着、爪の萎縮変形、関節の屈曲拘縮が起こります。

 

次に、全身症状として体重の減少や、疲労感が出ます。

 

骨や関節の症状も現れ、これは症例の50%以上に認められます。指、肘、膝、足関節などに多発性関節痛が起こります。

 

また、肺症状として、これも症例の75%程度に認められます。肺が線維化し、間質性肺炎が生じたり肺感染を合併しやすくなります。

 

重要な症状として多彩な消化器症状を示します。消化管全体の蠕動運動の低下によって食道では拡張と収縮能の低下がおこり、嚥下障害が起こります。

 

小腸では吸収不良症候群を合併し、便秘と下痢を繰り返します。

 

また時に、腸の動きが悪く(硬くなることにより)、Bacterial overgrowthという、動かない腸の部分での細菌の異常増殖が出てくることがあります。

 

大腸では憩室様拡張が起こります。

 

線維化心筋炎による心筋の伝導障害から不整脈などの心症状も起こります。

 

全身性硬化症の50%におこる強皮症腎とよばれる症状は難治性で腎臓の血管内皮の細胞障害を起こすことで、腎臓の細胞の中の糸球体に虚血が生じ腎不全に至ることもあります。

 

このように全身の結合組織障害により様々な症状を呈するのが特徴です。

 

 

全身性硬化症の検査、診断

血液検査で、抗核抗体、抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体、抗RNAポリメラーゼⅢ交代などの特殊なマーカーが陽性になります。また、それらの保険が認められている抗体検査がすべて異常がなくても、臨床症状や保険適応外の検査(外注検査)などで診断します。

 

これらの抗体は、どの抗体を持っているかで臨床症状が異なってきて、重症度も変わってくるため大事です。一般的にはRNAポリメラーゼⅢは癌が多い抗体で、Scl-70抗体は全身の症状(肺炎など)を合併しやすく、抗セントロメア抗体は内臓病変は出にくいですがレイノー症状や肺高血圧などが多いです。

 

 

他は症状に応じた各臓器の画像検査で診断していきます。例えば、手指病変であればX線写真で手指末端骨の骨吸収像などの変化が現れることがあり、肺病変を呈していれば胸部レントゲンやCTで肺線維症の像を描出できます。

 

消化器症状が出ている場合は消化管造影検査において消化管の拡張や蠕動運動の低下がみられます。

 

 

全身性硬化症の治療に関して

症状に個々に対応していくのですが、日常生活指導が非常に大切になります。

 

生活指導の内容としては、保温、保湿、栄養、皮膚の保護、感染予防や禁煙になります。

 

また、理学療法として関節拘縮の予防と筋力増強を促します。

 

レイノー現象、皮膚潰瘍、心筋病変、肺高血圧などの血管病変に対してはカルシウム拮抗薬、プロスタグランジン、セロトニン拮抗薬を使います。

 

強皮症腎に対してはACE阻害薬という腎、高血圧の治療薬を用います。

 

心筋炎や関節炎などの炎症性病変に対してはステロイド製剤を使用していきます。かなり専門的な治療で免疫抑制剤を使用することもあるため、専門医のところを受診しましょう。

 

予後は比較的慢性の経過をとる症例が多くなってます。予後に関与するのは主に心肺病変で、死因の順位別では、1位は肺感染症による呼吸不全、2位は心不全、3位は不整脈による突然死、4位は腎不全となっています。