クリストスポリジウムとは、細菌やウィルスではなく、人に寄生する原虫という生物による感染症です。

 

豚、牛、ネズミ、猫、犬、ヘビなど身近な動物の腸管に寄生しており、人に感染すると様々な症状を引き起こします。

 

衛生環境の悪い開発途上国で多くみられ、こういった国を旅行した場合に感染することもあります。特にAIDS(エイズ)など抵抗力が弱っている人はクリプトスポリジウムに感染しやすく、重症化・長期化することがあります。

 

クリプトスポリジウムは虫体(スポロゾイト)と、直径5μm程度の丈夫な殻に覆われた卵型のオーシストという二種類の形態があります。

 

この虫体は、腸管の細胞の中で分裂増殖します。そこで増えたオーシストと呼ばれる形態となり、便と一緒に排泄されます。

 

この排出されたオーシストは、強い感染力を持ちます。便から排出されたオーシストは土壌や水の中に存在しており、通常の塩素消毒では死滅しないため、飲み水を介して集団感染を引き起こすことがあります。

 

 

クリプトスポリジウムの症状は?

主に下痢、腹痛、嘔吐、嘔気、軽い発熱などの症状を引き起こします。筋力の低下がみられることもあります。

 

下痢は水様便が中心で、血便になることはほとんどありません。

 

免疫機能が正常に働いてる健康な人であれば、ほとんどの場合1週間程度で症状は治まります。

 

人によっては2週間程度症状が続く場合もありますが、重症化することはまれです。

 

エイズなど免疫不全の人や癌治療で免疫抑制治療を受けている場合、抵抗力が落ちているため長期化・重症化し死に至ることもあります。

 

 

クリプトスポリジウムの原因は?

クリプトスポリジウムに汚染された水を飲んだり食物を食べることによる経口感染が主な原因です。また、感染者の便や汚染された便器などを触った手を介して二次的に感染することもあります。

 

特に便から排出されるオーシストは様々な環境下で生存が可能で、土壌や水の中に存在しているため注意が必要です。

 

 

クリプトスポリジウムの潜伏期間は?

潜伏期間は1週間前後が多いとされ、突然下痢などの症状が顕れます。

 

症状が顕れるのと同時にオーシストが便へ排出され始めます。

 

 

クリプトスポリジウムの検査の方法は?

クリプトスポリジウムの診断は、検便により便からのオーシストの排泄を確認することにより行います。集卵法という方法で便を濃縮し、顕微鏡でクリプトスポリジウムの存在を確認します。簡易迅速ショ糖浮遊法では、10分前後で検査できます。

 

抗酸菌染色や直接傾向抗体法などでも見ることができます。

 

また、簡易キットを用いて便中の抗原を検出できる検査もあります。

 

血液検査で抗体を検査する方法もあります。

 

また、大腸カメラを行い、そっこの局所をHE染色や蛍光抗体で検出する方法も報告があります。

 

 

クリプトスポリジウムの治療方法は?

免疫力が正常であれば、ほとんどの場合自然治癒します。症状が軽い場合は水分や電解質の調節などの対症治療を中心に行います。

 

重症化したり免疫力が低下している場合は、nitazoxanideニタゾキサニド(アリニア)という薬剤による治療を併せて行うこともあります。(専門施設から取り寄せ)

 

パロモマイシンも効果が報告されています。

 

 

クリプトスポリジウムはうつる感染か?対処方法は?

クリプトスポリジウムは加熱・冷凍・乾燥に弱く、60℃以上もしくは-20℃以下で30分間、常温でも数日間乾燥状態におかれると感染力がなくなります。

 

生物は避けよく加熱してから食べましょう。

 

食器はよく乾燥させてから使用しましょう。

 

ペットや土を触ったあとはよく手洗いをし、物理的に洗い流すことも感染予防に効果的です。

 

逆に、塩素系の消毒薬に対しては強く、普通の濃度の塩素で殺菌されないこともあり、日本でも1994年の神奈川や、1996年の埼玉などで集団発生の報告があります。

 

プールや河川などの水からも感染することがあるので口に入らないように注意しましょう。