低カリウム血症とは

カリウムは体内の電解質(ミネラル)の一種で、心筋や骨格筋の働き、その他、細胞の代謝に重要な役割を果たしています。

 

基準値は血清中のカリウム濃度が3.7-4.8mEq/l、尿中のカリウム濃度が30-100mEq/日となっています。体内の電解質はその恒常性が一定に保たれることで、カリウム濃度もこの範囲内で推移しています。

 

つまり、食事で取ったカリウムは、普段はバランスをとって排泄しているのです。

 

しかし、低カリウム血症は、なんらかの原因でカリウム濃度が低下することで、様々な症状を呈する疾患です。

 

具体的には血液検査で3.5mEq/l以下の低カリウム血症がみられた場合は以下の理由を考えます。

 

低カリウム血症の原因

カリウムの摂取不足

高度の飢餓や神経性食欲不振症などで起こります。普通の食事をしている場合には起こる確率は極めて稀です。

 

 

細胞内への移行

インスリン大量投与や、甲状腺ホルモンなどの、細胞内にカリウムが取り込まれる刺激があるのですが、それによって起こってくる低カリウム血症です。アジア人男性で、たくさん食べた後に急にカリウムが下がる場合は、低カリウム血症性周期性四肢麻痺という病気の場合が多く、それは細胞内へのカリウムの移行により起こります。

 

腎臓からの排泄増加

原発性アルドステロン症、クッシング症候群、先天性副腎皮質過形成などから、アルドステロン作用の過剰、バーター症候群、尿細管アシドーシスなどの尿細管異常、利尿剤や抗生物質、甘草、グリチロンなどの薬剤性のものがあります。

 

 

腎臓外で喪失

下痢などの消化管からの喪失で腸からカリウムが喪失します。

 

 

 

低カリウム血症の症状

低カリウム血症の症状は多彩ですが、まずは四肢緊張の低下が認められます。

 

また、腹壁の筋緊張低下がみられます。また、全身倦怠感や周期性の四肢麻痺などに発展することもあります。

 

低カリウム血症が持続すると腎臓での尿濃縮力低下が起こり、消化器系では消化管の蠕動運動の低下がみられ、食欲不振、便秘、麻痺性イレウスを呈することもあります

 

その他にも、多尿、多飲、不安やいらいら、抑うつや睡眠障害などの精神神経症状も認める場合があります。

 

低カリウム血症で気を付ける3点は

・心臓の不整脈(命に係わる)
・呼吸する筋肉の麻痺(命に係わる)
・マヒ性イレウス(治療方法が変わる)

で、命にかかわりますので、入院を勧められたら迷わず入院しましょう。

 

 

低カリウム血症の検査、診断

前述の症状が認められた場合は血液検査で電解質を測定し、カリウムの値が3.5mEq/l以下であった場合には低カリウム血症の原因の診断をすすめます。

 

生理検査では、不整脈のリスクを評価するために心電図をとります。

 

低カリウム血症の治療に関して

原因を検索すると同時に、カリウムの数値を正常値になるよう治療を行います。カリウム製剤の内服は点滴よりも安全とされていますが、麻痺性イレウスがある場合は腸から何かを吸収させるのが難しいため、点滴になります。。

 

そのような経口摂取が不可能な症例では、カリウムの静脈投与を行いますが、休息大量投与を行うと、最悪心停止を誘発してしまう危険があり、カリウム静脈投与の際には慎重な管理が必要です。

 

これらのカリウム投与時は、尿から排泄されるカリウムが十分でない場合(周期性四肢麻痺などの場合に多い)、逆に高カリウム血症になる危険があります。

 

また、ジギタリスという心不全や心房細動、頻脈等の治療に使われる薬剤を投与しているとジギタリス中毒(ジギタリスの過投与で起こる一連の副作用の総称のこと。不整脈、徐脈、動悸などの循環器症状、食欲不振、嘔気、嘔吐などの消化器症状、下痢、腹部膨満感、腹痛などの症状や視覚障害、めまいや頭痛などの精神症状などが起こる合併症)を引き起こすこともありますので循環器内科医はジギタリスを処方している患者に対しては細心の注意を払っています。

 

飲んでいる薬や、漢方薬の甘草という成分を含んだ漢方薬は原因としてとても多いため、低カリウム血症の限ったことではありませんが、病院を受診する際は必ずお薬手帳を持参するということの重要性を改めてお伝えしたいです。