子宮筋腫は子宮に生じる良性の平滑筋腫で、40歳以上の女性に好発し、その頻度は20%以上とされるほどよくみられる疾患です。

 

その95%以上は子宮体部に生じますが、例外的に子宮頸部に生じることもあります。

 

本症では、何らかの理由で腫瘍細胞に豊富なエストロゲン受容体が発現するようになり、エストロゲン依存性に増殖します。他方、閉経後になると、発育は停止し、多くは縮小傾向をたどります。

 

筋腫は球形か、それに近い状態(類円形)の硬い結節で、周囲の平滑筋を圧排しながら発育していきます。なお本症の約70%は多発性です。筋腫は肉眼的に周囲の正常平滑筋とは明瞭に区別されますが、被膜には覆われていません。

 

ぎっしりと詰まった子宮筋腫は必然的に血行が乏しく、しかも周囲の正常平滑筋とは明瞭に区別されているので、外部からの血流も期待出来ません。

 

そのために容易に循環障害が生じ、続発性変化(変性)を引き起こします。例えば、壊死、内部が無構造になる硝子化、硝子化の内部が崩壊するための嚢胞化、石灰化、脂肪変性などが認められます。

 

なお、本症が悪性化するか否かについては議論があります。ごくまれに1%以下の確率で悪性化するという見解もあれば、悪性化しないという文献もあります。

 

議論が分かれる理由としては、本症は容易に変性し、しかもいくつかの変位型が存在するので、良性腫瘍が悪性化したのか、それともともと悪性の子宮肉腫が良性の子宮筋腫の内部に隠れていたという判定が困難だからです。

 

筋腫ができる場所によっていくつかに分類されます。一番多いタイプは筋層内筋腫といって、結節全体が正常筋層に取り込まれているタイプで、本症の約70%を占めます。

 

次に、粘膜下筋腫といって、結節が子宮内膜直下にあり子宮腔内に向かって発育するタイプで、本症の中では最も少なく5〜10%にとどまります。

 

ただし、子宮腔に近い分だけ臨床症状を起こしやすく、実際に後述する過多月経、不正出血、疼痛などを訴えるケースでは粘膜下筋腫の頻度が高くなります。

 

粘膜下筋腫が有茎性の発育し、外子宮口から飛び出すこともあります。これを筋腫分娩とよびますが、もちろん本来の分娩ではないので、未産婦にも発生します。

 

最後は漿膜下筋腫といって、結節が子宮漿膜直下にあって漿膜面から突出するタイプで、本症の10〜20%を占めます。なかには、ポリープ状に発育した有茎性漿膜下筋腫などもあります。

 

 

子宮筋腫の症状

本症の約半数は無症状で経過し、本人の気づかないまま閉経期を迎えて縮小すると推測されています。ただし部位(特に粘膜下筋腫)と大きさ、数などによっては、後述する症状を引き起こします。

 

さらに筋腫が悪化すると、過多月経、不正性器出血、貧血を起こします。

 

これは特に粘膜下筋腫でみられる症状で、結節によって子宮内膜が引き延ばされ、ついには菲薄化して潰瘍を生じて、不正性器出血を引き起こします。

 

また、結節があると、子宮筋の収縮が妨げられ、動脈の圧迫が不十分になります。

 

さらには、子宮内膜では静脈の還流も滞りがちで、血液がだぶついています。このために、月経時の出血量も多くなります。もちろん、不正性器出血や過多月経は貧血をもたらします。

 

そして、様々な原因によって腹痛を生じます。まず、粘膜下筋腫では、結節を排除しようとして子宮筋が過剰収縮し、疼痛を引き起こします。

 

特に子宮筋は収縮しやすくなる月経時に強く出現するので、患者は月経痛を訴えます。

 

また、菲薄化した子宮内膜から感染が生じれば、免疫応答を介して疼痛が生じます。

 

さらに、前述の筋腫分娩では、通常の分娩と同様に排出時に子宮筋が過剰に収縮し、陣痛様の疼痛を生じます。

 

この際には、大量の性器出血を伴いますが、筋腫が排出されると、疼痛は消失します。

 

また、稀ですが、子宮筋腫が膀胱を圧排し、頻尿症状が出たり、直腸を圧排して便秘症状が出たりします。

 

 

 

子宮筋腫の検査、診断

筋腫の検査は超音波、CT、MRIを用います。

 

超音波検査では、筋層内、または筋層として接して明瞭な辺縁を有する類円形の充実性腫瘤を描出できます。

 

MRIは筋腫のような軟部組織のコントラストと分解能に優れ、充実性腫瘤の描出力は他の画像診断をはるかに上回ります。このため、子宮筋腫の診断にあたっては最も信頼のできる検査といえます。

 

 

子宮筋腫の治療に関して

本症の治療は経過観察で十分なケースから、積極的に手術が必要なケースまで千差万別であり、患者個人個人によって治療法が異なると言えます。

 

まず、本症の約半数は無症状で経過し、しかも閉経後は縮小傾向を辿ります。他方では1%の確率で悪性の子宮肉腫が含まれます。しかしながら、術前に悪性の診断が確定出来ることは少なく、両者の境界はかなり微妙です。ただし、閉経後に増大する場合には悪性の疑いが残るため、手術の適応とします。そのため、産婦人科へきちんと受診しましょう。

 

また、出血や腹痛の程度が強い場合は手術適応となることがあります。

 

薬物療法としては、GnRHアゴニストを用いて、抗エストロゲン作用をもって筋腫の縮小をはかります。

 

手術療法としては、筋腫のみを摘出する筋腫核出術と、子宮を摘出してします単純子宮全摘術の2つがあります。