ベーチェット病とは、膠原病のひとつで、全身性の好中球による炎症と血管炎によって多彩な病態を呈し、特定疾患治療研究対象です。

 

本邦での患者では20〜40代に多いです。

 

遺伝的素因でHLA-B51という遺伝子の保有率が高く、60〜70%ほどあります。男性若年症例で重症例が多いです。日本ではHLA-B51という遺伝子の方がもともと多いので、最も多い国というほどではありませんが、諸外国に比べベーチェット病が起こりやすい国とされています。

 

本邦における患者数は約17000人ほどで、近年、眼症状を有する重症例は減少してきています。

 

 

ベーチェットの症状

主症状と副症状にわかれますが、主症状として代表的なのは口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍はほぼ必発かつ初発症状で、円形の有痛性潰瘍を来します。

 

1年に3回以上の、痛みが強い口内炎というのが特徴です。

 

 

さらに、陰部の潰瘍が特徴的です。陰嚢や陰茎、大陰唇、小陰唇に有痛性の外陰部潰瘍を認めます。

 

皮膚症状としては、四肢、特に下腿伸側に好発し、有痛性の結節性紅斑と呼ばれる皮膚病変や、索状硬結として触知する皮下の血栓性静脈炎、顔面、頸部、背部に発症する毛嚢炎様皮疹、体幹部以外にもできるニキビ、皮膚の刺激性亢進などがあります。

 

次いで、眼症状が出ます。失明率の高い虹彩毛様体炎、網膜脈絡膜炎などのぶどう膜炎が起こります。

 

 

副症状としては、関節炎症状を認めます。一過性で大関節炎に生じ、発現期間は1週間前後です。

 

また、回盲部〜上行結腸に難治性の潰瘍が生じ、穿孔に至ると急激な腹痛を訴えます。

 

副睾丸炎も認め、一過性でしばしば再発し、局所の疼痛と腫脹を生じます。

 

そして、血管系の症状として、動脈瘤や血栓性静脈炎を認めます。肺血管系に病変が生じた場合は、致命的な喀血を来たし致命的になることもあります。

 

最後に、精神神経症状として、髄膜炎様症状、脳幹症状、脳神経麻痺などの多彩な中枢神経症状を認めます。寛解と増悪を繰り返して、最終的には非可逆性となり、末梢神経症状は少ないと言われています。

 

消化器症状、大血管症状、中枢神経症状が臨床的に全面に出たときは、腸管型、血管型、神経型とよばれ、生命に脅威をもたらしうる病型として特殊病型に分類されます。

 

また、腸管症状、消化器症状が前面に出るタイプは時にクローン病との鑑別が困難になることもあります。

 

 

腸管ベーチェットの検査、診断

診断は、診断特異的な検査が無いことから臨床症状の組み合わせで行います。

 

血液検査では白血球やCRPなどの炎症反応の値が上昇し、IgA、IgDなどの免疫グロブリが上昇します。

 

また、HLA-B51やA26が見られますが、日本人ではもともと多いので、診断を決めるまでの検査にはなりません。

 

脳脊髄症状が疑われる方に髄液検査を行うと、炎症を反映し蛋白や細胞の上昇が見られます。

 

そして、針反応といって、滅菌注射針の刺入によって、24〜48時間後に中心部に無菌性小嚢胞の形成をみます。陽性率は40〜50%と言われています。

 

頭蓋内病変がある際には画像検査ではMRIが有用で、脳幹病変、基底核病変が高頻度、大脳皮質下に散在性病変を認めます。

 

眼症状が出ている時には、細隙灯で目の表面を、眼底鏡による網膜病変をみることができます。

 

 

腸管ベーチェットの治療に関して

治療は各臓器別に症状に応じて対応していきます。

眼症状に対してはステロイド点眼薬を免疫抑制薬を使用します。

 

皮膚症状で潰瘍を認める時は、副腎ステロイド軟膏を使用します。粘膜、皮膚症状、関節病変を主体とする軽症例にはコルヒチンを選択します。

 

消化器症状で潰瘍が出ている時は、消化器科で治療の調整が必要です。

 

神経症状に対しては、ステロイド製剤に加えて、免疫抑制薬を用います。

 

血管症状が出ている時には、ステロイド製剤に加えて免疫抑制薬を用います。

 

消化器、血管病変は手術適応になることもあり、かつ術後にも再発し、再手術例のなる率も高くなっています。

 

青年期の失明の重要な原因疾患であり、症状が出たら早期の治療が必要です。

 

過労や、過度の運動、気温の変化、精神的、肉体的ストレスなど病気の増悪因子を避けるように日常生活上の注意を指導することが重要です。