長引く腹痛は本当につらいですよね。しかも原因が分からないと心配でますます症状が悪化してしまいそうです。
症状が治まる気配がなく長引くようなら、病院できちんと診察してもらうのが1番。そんなとき何科に行けばよいのでしょうか。
結論から言うと迷ったら内科、それも「消化器内科」が腹痛を診察する専門になりますので受診してください。
腹痛がひどいときに無駄な時間や体力を使わないためにも、ぜひ腹痛についての知識を持っておいてください。
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腹痛が治まらず続いているのに原因不明、こんなとき何科に行けば良いの?
結論から言うと迷ったら内科、それも「消化器内科」が腹痛を診察する専門になりますので受診してください。
できれば総合病院の消化器科、または開業医でも消化器科を標榜していて超音波検査や胃カメラ・大腸カメラができるクリニックであれば、きちんと見てもらうことができます。
女性の場合は婦人科の痛みの場合もあり、その場合は産婦人科が良いです。内科では婦人科の病気の診察は難しいので先に受診してあるとホッとすることも多いです。(女性で、痛みの部位がおなかの下の方である場合、妊娠の可能性が0ではない場合は、婦人科の病気が原因の腹痛の可能性をつぶしておきたいところです。)
総合病院の消化器科をおすすめしましたが、総合病院は基本的には紹介状を持って受診するのが原則です。そのため消化器科が紹介制の病院の場合、残念ながらいきなり消化器科を受診することが難しい病院もあるので、そういう場合はかかりつけの開業医に相談し必要なら紹介してもらうか、総合病院の一般内科にかかりそこから消化器科への受診の流れになります。
救急外来の受診をされる方もいますが、急な腹痛であれば、救急外来に行けば救急医が診察し(高確率で研修医がはじめの診察をしますが)、必要に応じて検査をしてくれます。しかし長引く腹痛に対しては不慣れで、「緊急性は低いと考えられるので明日の外来を」という流れになるので、長引く腹痛で困っていて解決したい場合には向いていません。
なぜ長引く腹痛には消化器科が良い?腹痛の種類から理由を解説します
消化器科が良い理由は、腹痛の原因と関係があります。
腹痛には大きく分けて「体性痛」「内臓痛」「関連痛」の3種類があります。
体性痛とは、お腹の中の臓器が炎症を起こし、腹壁や腸間膜と呼ばれる腸と腸の間にある膜が刺激されることによって起こる腹痛です。
痛みの発生が狭い範囲に限られており、痛みのある部分がはっきり分かることが多いです。動けないほどの鋭い痛みが続くこともあります。腹膜炎を起こしているときも激しい痛みに襲われますが、腹膜炎が原因の腹痛も体性痛の1つです。
体性痛は激しい痛みになることが多いので、また進みも早い病気であるため、この症状の場合は長引く痛みになりにくいです。(逆に言えば激しい痛みのばあいは悠長なことは言わずに早めに受診しましょう。救急外来か内科か消化器内科です)
内臓痛とは、胃や腸などの臓器そのものが収縮したり痙攣(けいれん)を起こしたりすることで発生する痛みです。
また肝臓や膵臓などの臓器も腫れたりすると臓器を覆っている膜が伸ばされて痛みが生じます。間欠的でなんとなくお腹が痛いような症状から激しい腹痛まで様々です。痛みの部位が特定しにくく、お腹全体が痛い・下腹が痛いなど漠然とした訴えが多く聞かれます。
なんとなくおなかの痛みが続くときは、胃や腸や膵臓などの、いわゆる消化器とよばれる臓器達が原因になってきて、これは消化器科の専門領域なのです。
関連痛とは、内臓の痛みを伝える神経が皮膚の痛みを伝える神経と合流することで起こる痛みです。痛みの発生源となっている内臓から離れた場所で痛みを感じることがあります。
これは、皮膚や心臓や肺など、一見すると胃腸や消化管と関係ないところが原因で発見が難しいため、消化器科でも何もなさそうと言われてもまだ症状があるときに、他の病院で初めて原因がわかる、ということがまれにあります。
ちなみに、耳慣れない言葉かもしれない「消化器」とは食べた物を消化吸収する器官のことで、口・食堂・胃・十二指腸・小腸・大腸・肛門までの1本道と、さらに消化を助ける酵素などを生産分泌する肝臓・胆のう・膵臓を指します。この消化器系を専門に診てもらえるのが消化器内科です。
まれに腹部大動脈などの消化器というに異常をきたし腹痛が起こっていることや、関連痛で消化器以外の臓器が原因になることがあり、この専門は消化器内科ではなく心臓血管外科になりますが、実際には消化器内科は腹痛の患者さんをたくさん診察しており経験が豊富なので、そのあたりの腹痛の原因精査に関しても長けています。
そのため消化器科で診察を受けて、もし血管系の異常が見つかれば心臓血管外科に紹介してもらうという形で良いと思います。
ということで、長引く腹痛の場合、第1選択は消化器内科で良いのですが、女性の場合は婦人科も選択肢に入れておくとよいでしょう。
腹痛が治まらず続くとき考えられる原因は?
治まらない腹痛の原因はいくつかあります。腹痛以外の症状と合わせて考えていきましょう。
<胃炎、食道逆流症、食道裂孔ヘルニア>
- 食べ物を飲み込んだ時に腹痛を生じる
- 胸やけがする
<急性胃炎>
- 激しい腹痛がある
- 吐き気や嘔吐の症状がある
- 発熱はない
- ストレス状態が続いている
- 鎮痛薬を常用している
- アルコールなど刺激の強い嗜好品の摂取が多い
<急性虫垂炎、急性胆のう炎>
- 急な激しい腹痛に襲われる
- 吐き気や嘔吐の症状がある
<急性膵炎>
- 多量の飲酒
- 軽い吐き気
- 背中の痛み
- 前かがみになると腹痛が楽になる
- 全身の倦怠感
<心筋梗塞>
- 焼けるような痛み
- 吐き気の症状がある
腹痛が治まらない時の対処法は?
まずは原因を考えることが大切です。食生活も乱れ、いつもと違うものをたくさん食べたなどの心当たりはありませんか?最近ストレスが過度にかかる状況が続いていませんか?
また、排便は規則正しくありますか?便秘が原因で腹痛が続くこともあります。
このようなことが原因であれば、食生活の改善やストレス状態の緩和、排便コントロールなどで腹痛が軽減するはずです。
食事はアルコールや香辛料などの刺激物を控え、食べすぎないように腹八文目を意識しましょう。
ストレス状況をクリアにするのが1番良いのですが難しいので、自分に合ったストレス改善法を見つけ出すのが良いかもしれません。排便コントロールにはお腹を温めてマッサージをしたり、適度な運動をしたり、食物繊維を積極的に摂るなどがあります。
しかしこのような原因に心当たりがないのに長引く腹痛は、病気の可能性が高くなります。特に腹痛が激しい場合はもちろん、嘔吐していたり背中にも痛みがある場合は速やかに病院で診察を受けてください。
まとめ
腹痛が治まらないのに続いている場合、まずは原因を考えることが大切なのですが、原因不明で長引いている場合は、ただの腹痛だと思って油断してはいけません。
怖い病気の症状かもしれないので、病院できちんと検査を受け原因を突き止めて、適切な治療を開始してください。腹痛の時に受診する第1選択の診療科は「消化器内科」です。
総合病院に行けば必ずある診療科ですが、近くの病院で消化器内科が見つからない時は内科受診でも見てもらえますので、無理に我慢ぜず受診してくださいね。