腹部造影CT検査について

CTは超音波と異なり、得られる画像はその画像が検者によりばらつくことは少なく、再現性が高い検査です。

 

また、撮影されたフィルムも後で何度も読影や検証をすることが可能です。読影に際しては腹部解剖をよく理解しておくことが必要です。

 

さらに、X線のみの単純CTだけではなく、血管造影剤を併用することで、さらに詳細な読影所見を得ることが可能になる検査です。

 

 

腹部造影CTが対象となる疾患

CT検査は腹部単純写真や超音波検査に比べて情報が詳細に得られる上に、検査時間が短いので、特に急性腹症(救急外来などでみる、急に腹部が強く居たくなった場合)において適応範囲は広くなっています。

 

適応はほとんどの腹部の外傷(外から何かが当たってできる病気)のほか、非外傷性疾患でも腹部単純写真あるいは超音波検査で所見が得られないにも関わらず、何らかの特定の疾患が強く疑われる場合も適応となります。例えば、消化管の後腹膜腔への穿孔はこれにあたります。

 

また、ある疾患が疑われるが、その原因がはっきりしない場合、例えば機械的腸閉塞イレウスなどが疑われる場合、その原因を求める時なども有用です。

 

あるいは、他の検査で有力な所見が得られない場合、たとえば判断が難しい急性虫垂炎、あるいは憩室炎などの炎症性疾患、さらに腸間膜動脈、あるいは静脈の閉塞などの血管性病変など多数の状態が適応になります。

 

 

腹部造影CTで、具体的な所見別で疑うべき疾患

 

腹腔内液体貯留が見られる場合

腹腔内液体貯留の診断は超音波検査のほうが鋭敏ですが、CTでも100ml程度の腹水貯留から診断可能です。

 

腹腔内における液体貯留としては、腹水および血液の両者がありますが、見え方によりある程度の読影が可能です。出血による場合の方がCTではより明るく(白く)見えるので、ある程度の明るさを持った液体貯留は出血と診断することがあります。

 

特に腹腔内出血の貯留部分として、肝臓周囲、モリソン窩、および骨盤腔を注意して読影していきます。

 

さらに血管造影CTでは、現在進行形で出血している臓器などの鑑別に適しています。例えば交通事故などで、お腹の中で出血しているかどうかの評価は、造影CTは非常に役立つ検査です。

 

 

腹腔内フリーエアーが見られる場合

CTで腹腔内にフリーエアー(空気の像)がみられることは通常はなく、病気の中では重症なもののことが殆どです。CTでは、わずかなフリーエアーの存在が検出出来ることができます。単純レントゲン写真と大きく異なり、病気の発見の漏れが減ります。腹部単純レントゲン写真が正常でも約25%以上においてCTでフリーエアーが見られることがあります。

 

さらにフリーエアーの所見から消化管の穿孔部位の特定にも有用です。

 

肝臓の異常が見られる場合

肝臓の大きさ、および形の他、様々な異常がわかります。脂肪肝やヘモクロマトーシスの比較的早期の診断が可能です。(これは単純CTでも可能です)

 

また、直径2cm程度の腫瘍の診断も可能性です。特に、造影CTを行えば、小さな腫瘤の診断はより容易となります。

 

肝臓の腫瘍の場合は単純CTでは病変が見えにくく、造影CTを施行することが重要です。造影CTのみでも血管豊富な腫瘍では正常な部分との境界が不明瞭で、単純と造影との複合検査が必要になります。ただし、造影剤は腎臓へのダメージのリスクもあるため、通常は超音波で異常を見つけてから造影CTをする場合が多いです。

 

急性腹症の場合は、大きな腫瘤や、肝臓の裂傷を見るので、それほど診断に問題はありません。

 

 

胆嚢および胆管の異常が見られる場合

胆嚢をターゲトとしてCTを撮影する時は、食後の検査で収縮して胆嚢の壁が肥厚してしまうので、検査前は禁飲食にしておく必要があります。CTでは胆嚢結石は、胆汁との区別がつきにくいことがあり、超音波検査との対比が必要です。

 

 

膵臓の異常が見られる場合

膵臓の大きさ形にはかなり個人差があります。急性膵炎などの急性腹症の原因となっている疾患が発症している時にCT検査は非常に優れています。

 

特に急性膵炎の膵臓周囲の浮腫像は、超音波検査よりCT検査の方が細部に至るまで描出が可能です。

 

重症度評価に造影CTの結果が使われるように、得られる情報は多いです。

 

 

脾臓の異常が見られる場合

特に交通外傷などで脾臓破裂から腹腔内出血を起こしているとCT検査は有用です。

 

 

腎臓の異常が見られる場合

急性腹症の対象となるものは閉塞による水腎症(これらは単純CTで見えます)、外傷による腎臓の損傷、出血あるは腎臓腫瘍の描出などにも適しています。

 

 

尿管の異常が見られる場合

CTにおいては尿管の位置、損傷や損傷による尿の溢水などが確認できます。また最も優れているのは尿路結石の描出で、比較的小さな石も確認することが可能です。(これらのものは単純CTでも見えます。)

 

尿管の悪性腫瘍などは、造影CTの方が描出しやすいですが、尿管の悪性腫瘍自体がまれな疾患なので、何かきっかけがあって造影CTが行われ、それに付随して見つかる場合が多いです。

 

 

消化管の異常が見られる場合

消化管の所見としては何といっても消化管穿孔の診断です。フリーエアーと組み合わせて部位診断も可能です。

 

また。急性腸炎の場合、腸管の炎症のため周囲の浮腫像などが認められます。