胃が痛くなった後に下痢に襲われたことはありませんか?胃が痛いだけでも辛いのに、下痢に襲われると焦りますよね。

 

また、
※怖い病気なのか
※様子を見てよい病気なのか
気になるところではないでしょうか。

 

このページでは、

胃痛と水下痢は関係があるのか
原因はどのようなものがあるのか
どのように対処すればよいか

を解説します。

 

(※もし、電車の中などで急を要する場合は、ツボ押しやおなかを温めるなどをして、なるべく早く降りてください)

 

まず、胃痛と下痢の症状で救急外来や内科外来を受診した患者さんを見るときに、内科医がどのように考えているかというと

 

内科医の視点から見た、「胃痛+下痢」の最初の分類

①胃痛がメインで、下痢が少ない

②下痢がメインで、胃の痛みは波がある

③下痢が血便(血がついている)、胃潰瘍などの危険なパターン(緊急)

④下痢になる腹痛はあるが、咳などの一見別の症状も伴っている

この4つに分類すると、

①胃痛がメインで、下痢が少ないパターン

⇒胃の病気で検査を検討⇒腹痛の原因の鑑別

という形で、痛みにフォーカスして検査を進めていきます。

 

②下痢がメインで、胃の痛みは波がある(胃腸炎やストレス腸炎で様子を見れる率が高い)

⇒この場合は、下痢になる病気から考え、腹痛となる胃腸炎などの病気を中心に考えます。脱水も評価します。

この場合は、結果敵に怖い下痢でなさそうで、お腹の痛みが強くなければ、様子をみれることが多いです。

 

③下痢が血便(血がついている)、胃潰瘍などの危険なパターン(緊急)

この場合、胃潰瘍などの重篤な病気の可能性があるので、こういう危険な兆候がないかどうかを問診します。

 

④下痢になる肺炎症状で腹痛も出ている(レジオネラ感染など、熱が出ることが多い)

消化器症状(下痢や腹痛)が出る「肺炎」という場合なども隠れている場合があり、そういう「一見消化器症状だけど実は別の臓器の病気」という可能性を考えます。

 

このような考えをして、患者さんを診察します。

 

大まかに分類すると、上記のように考えます。

そのため、まず下痢の回数を気にします。下痢の回数が多くて、本当に下痢だ!ということが確認できると、医療者側としては少しホッとすることが多いのが実際の外来の場面です。
では、胃痛と水下痢の関係について解説していきましょう。

 

胃痛と水下痢は関係がある?

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まずは胃痛についてお伝えしたいと思います。

 

冒頭でもお伝えしましたが、胃が痛いと言っても、実は必ずしも胃が原因であるとは限りません。

 

ほとんどの人はみぞおちの辺りに痛みを感じると胃が痛いと訴えると思いますが、ここが痛むときには、胃や十二指腸、肝臓、膵臓、心臓、肺などの異常が原因でも、胃痛症状が出ている場合考えられるのです。

 

なぜなら、

・胃と近い臓器の症状を感じている
・内臓の「痛みを感じる神経」は同じ

この二つの理由により、他の病気の原因で胃痛が起きるからです。

部位から腹痛の原因を考える(心窩部痛のところを参照)

 

胃痛(みぞおちあたりの痛み)があった場合、痛みの場所が胃なのか、他の臓器なのかを見分ける方法ですが、食事の前後(空腹時と食べ物が入っている状態)で症状が変わるかどうかに注目してみましょう。

 

食事の前後で痛みが変わるようだと、胃や腸などの消化器系の異常が原因である可能性が高くなります。

 

胃が実際にダメージを受けていて、胃痛が出てくる場合は、胃の粘膜の炎症や損傷のことが多いです。もともと、胃は胃酸という強力な酸を出して食べ物を殺菌しますが、胃酸は胃自体を傷つけてしまうため、胃は胃酸を出すと同時にバリアを張っています。

胃酸と胃のバリア
胃酸を減らして症状を和らげる薬の例

 

アルコールやカフェインなどの刺激物による胃痛と下痢

このバリアである胃の粘膜が傷つくと、胃酸により胃がダメージを受け、おなかの痛みが出ます。胃を刺激する身の回りの物は、アルコール・カフェイン・香辛料・タバコなどが挙げられます。

 

ちなみに、これらのアルコールやカフェインは、腸を刺激する作用を同時に持っているため、胃痛と軽い下痢が出ます。暴飲暴食や熱い物・冷たすぎるものなども刺激となり胃粘膜を荒らし、腸を刺激する原因になります。

 

つまり、胃痛と下痢があるとき、アルコールやカフェインの摂取歴は確認しておくべき原因になります。

 

 

胃腸炎による胃痛と下痢

胃と腸が同時にダメージを受けている場合も、胃痛と下痢が出ます。具体的には、細菌やウイルスなどの感染も胃痛を引き起こす原因の1つであり、腸を刺激し下痢を起こす原因にもなります。そのため、下痢がメインの胃痛では、感染性胃腸炎のことが多いです(感染性胃腸炎であれば様子をみることが多いです)

 

ストレスによる胃痛と下痢

さらにストレスや生活習慣などの心理的な影響による自律神経の乱れも、胃痛を引き起こす原因になります。自律神経は胃酸の分泌をコントロールしており、自律神経の乱れによって胃酸の分泌が増えると胃粘膜を攻撃してしまいます。この時には、過敏性腸症候群と呼ばれる腸への影響で、下痢と便秘と両方が起こりえます。

 

ストレスがあると腸への血流も悪くなるため、胃粘膜を守る働きが低下することも胃痛の原因となりますし、ストレスが強い場合には、胃が異常に収縮してしまい痙攣を起こすこともあります。

 

胃痛がメインで下痢が少しの場合の対処方法

そのため、胃痛がメインで下痢が少ししかないときは、胃の粘膜が傷ついていないかどうかを見極める必要があります。胃が強く傷ついているとき(重症な時)は、胃から出血して血便という赤い便が出たり、黒色便という血が変色した黒い便が出るときがあり、これにより「下痢のような」便が出たり「血便」が出たりします。この場合は緊急なことがあるので

・痛みがとても強い
・便が黒かったり赤い

場合には、胃痛と下痢の場合でも特に急いで検査をしたほうが良いです。

 

 

日本人と胃痛と下痢

近年、日本人は胃痛になりやすいと言われています。昔から繊維質の多い和食に慣れ親しんできた日本人の胃は、食の欧米化に伴い肉食に偏った食事の消化は負担が大きいことが原因だといわれています。

 

また、日本人にはピロリ菌感染者が多く、胃があれ胃痛症状が出やすいです。ピロリ菌は、胃を保護する粘液層で増殖し胃粘膜を破壊したり、胃の表面に炎症を起こしたりする細菌です。

 

日本人の2人に1人がピロリ菌に感染していると言われており、とても多く、胃に炎症を起こし胃炎という状態を作ります。

 

胃炎には、表層性胃炎、びらん性胃炎、萎縮性胃炎、肥厚性胃炎の4タイプあるのですが、いずれも長期間繰り返された炎症から、胃粘膜・胃腺に萎縮性の変化が生じたものです。

 

ただし、日本人の2人に1人が感染しているとお伝えしましたが、ピロリ菌に感染している人全員が胃痛に苦しんでいる訳ではありませんし、慢性胃炎では下痢がメインになることは少ないので、下痢感を感じていたとしても、下痢の回数があまりない胃痛の場合は、一度内科外来や消化器科で相談するとよいでしょう。

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下痢について

次に水下痢についてお伝えします。水下痢とはどのような便のことをいい、なぜ起こるのでしょうか?

 

理想的な便の固さは便の中の水分量が70~80%といわれているのに対し、様々な原因で便の中の水分量が増え、90%以上になり水の様になった便を水下痢と呼んでいます。医療用語では水様便(すいようべん)と言います。

 

水下痢を起こす原因は様々です。

 

  • 細菌やウイルスに感染してしまったことで起こる感染性胃腸炎 
  • 暴飲暴食による消化不良、お腹を冷やしてしまったことによる腸の異常収縮 
  • 食品アレルギー 
  • ストレスが主な原因と言われている、過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)  
  • クローン病や潰瘍性大腸炎、バセドウ病などの重篤な病気 

 

 

下痢という観点からみてみると、下痢自体は緊急性が少ないものが多いですが、下痢を起こす病気はおなかが痛くなるものが多いです。お腹の痛みは、いろいろな場所で出うるので、胃痛として、みぞおちあたりが痛くなることも多いのです。

 

細菌やウイルスなどに感染して起こる感染性胃腸炎では、胃と腸が両方とも炎症を起こしてしまいます。腹部の症状はおなか全体に起こりえますが、みぞおちが痛むことも多いです。

 

また、冷たい食べ物や多量の香辛料、脂肪分を多く含む食べ物の摂りすぎやお酒の飲みすぎなど、腸が刺激され下痢をしますが、同時に暴飲暴食によって胃粘膜が荒らされると胃痛が起こり、胃での消化機能が低下します。

 

消化が不十分な状態で食べ物が腸へ送られ、腸での吸収が上手くいかず水下痢を起こすこともあります。胃が炎症を起こしている状態を胃炎と言いますが、胃炎が悪化すると激しい胃痛に襲われます。

 

胃炎の時は消化機能も低下しますので、消化されないまま腸へ送られた食べ物が吸収しにくいうえに、腸も炎症を起こしているためますます吸収できないまま排出されることになります。そのため水下痢になってしまうのです。

 

 

 

 

胃痛と水下痢が起こっている時の対処法は?

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急性胃炎が原因になっている場合には、胃を安静にすることが最優先です。炎症によって弱った胃を休ませるためには、半日~1日は消化によいものにするのがよいです。

 

胃痛に対して、胃薬を使用し、胃の粘膜を保護しダメージを減らすこともあります。軽い症状の場合には、様子を見ることもあり、その時は安静にして消化の良いものを食べていると改善することがあります。

ネキシウムなどの胃薬(PPI)

 

血便や黒色便が出るような、胃の粘膜が激しく痛んでいる胃潰瘍などの場合では、胃カメラでの検査や治療が必要になることがあり、これは救急外来での対処が必要な場合もあります。

 

では、続いて下痢が強い場合の対処方法です。水下痢は想像以上に体の水分が奪われます。脱水を予防するために水分補給は必ず行ってください。冷たい飲み物は刺激になってしまいますので、常温が温かいもので水分を補いましょう。白湯や番茶、スポーツドリンク、経口補水液などを少しずつこまめに飲むことをオススメします。

下痢が目立つときの飲み物

 

急性胃炎は2~3日で痛みが治まる場合が多く、その間は胃や腸に負担の少ない消化のよい食事を心がけてください。お粥やうどん、野菜スープなどが良いですね。味の濃い物や脂っこいものは控えてください。

下痢の後の食事

 

暴飲暴食など痛みの原因がはっきりわかっている場合は、胃腸薬や胃薬を使って胃痛を緩和させるのもよいですが、細菌やウイルス感染が原因の疑いがあるときは、病原菌を早く外へ出そうとする防衛反応なので、薬などを使って無理に下痢をとめないでください。

 

胃痛や下痢が激しい場合や、軽い症状でも2~3日安静にしていても症状が変わらない時は、速やかに病院で診てもらってください。

 

胃痛には原因によって特徴があるってホント?将来の予防方法は?

同じようにみぞおちの辺りが痛い場合でも、胃痛の原因によって痛みの種類が異なります。

 

1.暴飲暴食が原因の場合には、胃が膨らむことによる圧迫感や、お腹が突っ張るように痛みます。

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2.アルコールや香辛料などで胃粘膜が荒らされている場合には、みぞおちだけに集中して痛みが起こることが特徴で、吐き気や嘔吐を伴いことも多いです。

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3.ストレスによる胃痛は、キリキリと痛むことが多く、胃もたれや胸やけ、食欲不振や吐き気を伴う場合もあります。

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注意が必要なのは、胃痛が長引いたり何度も繰り返す慢性胃炎の症状です。慢性胃炎は胃ガンとの関係性が心配されますので、疑いのある場合は病院で検査を受けてください。

 

まとめ 

胃痛や水下痢の原因は様々です。

 

胃痛と同時に強い下痢症状が現れる場合は急性胃腸炎の可能性が高くなりますが、それだけとは限りません。症状が普段の下痢と違うなというときや、特に下痢が少なくて、腹痛がメインの場合は早めの病院受診がよいでしょう。自分の症状と向き合い原因を特定して、自分のできる範囲の対処法から始めてみてください。

 

それでも症状が全く良くならないのであれば、病院での治療が必要な病気が原因かもしれません。早めに医療機関を受診し適切な治療を受けてください。