近年、寒い時期が近づいてくると、毎日のようにニュースで報道されるノロウィルスの感染状況ですが、その感染力はすざまじいものがあります。

 

また、夏にも集団感染が発生しました年がありましたように、何とウィルスが変異したと言うのです。

 

さらに感染力を増す可能性を秘めたノロウイルス。このウイルスの特徴を詳しく調べてみましょう!

 

 

 

ノロウィルスによる下痢・嘔吐を伴う食中毒!このウィルスの特徴とは?

ノロウィルスが猛威を振るう兆し。冬になるとそんな見出しのニュースがたくさん見られるようになります。激しい下痢や嘔吐を伴う、ノロウィルスの食中毒は、強い感染力で全国に広がります。

 

このノロウィルスは、解明されていないことが多く、不活化条件などはいまだに判明していません。これは、感染してしまったら、打つ手が無いと言う事です。出来る限り感染を防ぐことしかできないのです。

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感染を防ぐにしても、インフルエンザウィルスのように普通に行うアルコール消毒で死滅しないのが、このノロウィルスをさらに厄介なものにしている要因でもあります。アルコールの手指消毒では、70%アルコールで5分以上かけないと失活しないとされていますので、通常の消毒では難しいのです。

 

アルコールを寄せ付けないような鎧でもつけているのでしょうか。実はその反対で、鎧が無いから、破ることが出来ないと言う理屈で消毒出来ないのです。アルコール消毒できる、インフルエンザなどのウィルスには、「エンベロープ」なる脂質膜があり、球体すべてが覆われているのです。

 

脂質は、アルコール、石鹸などで容易に溶けるため、アルコール消毒によって、脂質膜のエンベロープを破壊し、中のウィルスを露出させることで、死滅させられるのです。

 

反対に、ノロウィルスにはエンベロープが無いため、もともと露出しているものには効き目がないという訳です。

 

これは、わかりやすい説明のために、宇宙に例えられることが多いです。人間が宇宙にいる場合、宇宙服を着ていれば生きていられますが、これを破られてしまったら死亡してしまいますね。

 

この状態だと、宇宙服がエンベロープの役割で、人間がインフルエンザウィルスです。未確認生命体などが、宇宙服なしで宇宙で生きられる状態が、ノロウィルスです。

 

この場合、本体を直接攻撃しないことには、倒せません。次亜塩素酸ナトリウムが効き目がありますが、身近にあるものだと「キッチンハイター」です。まさか手や体にスプレーするわけにはいきません。

 

そのため、キッチンハイターを薄めた「ハイター消毒液」を作り、ドアノブや床、カーテンなどの家具を消毒し、体はウィルスを洗い流してしまうと言う手段しかないのです。

 

 

ところが、良く洗い流しているつもりでも、さらにノロウィルスは厄介の上乗せで、人に感染するためのウィルスの数がたったの10~100個と言う問題点があるのです。主な食中毒を起こす菌の、人に感染するために必要な個数を見てみましょう。

 

  • カンピロバクター<100~1000個>
  • セレウス菌<10万~1000億個>
  • ウェルシュ菌<100万~100億個>
  • チフス菌<1000~10億個>
  • サルモネラ菌<10万~10億個>
  • コレラ菌<100万個>
  • O157<10~1000個>
  • 赤痢<10~100万個>
  • ノロウィルス<10~100個>

 

この数が大きいと言うことは、食べ物などに、ウィルスが発生したとしても、その膨大な数になるまでの繁殖時間が必要になると言う事になります。ところが10~100個なんて数では、目に見えないくらいの量が発生したとたんに、何百人も感染してしまう力があるのです。

 

ちなみに、あれだけ猛威を振るう、インフルエンザでさえ、1000~3000個です。ノロウィルスがどれだけ感染しやすいものかわかりますね。

 

冬場に流行するのは、2つの意味があり、1つは、乾燥により感染者の便や吐しゃ物(吐いたもの)が飛沫しやすくなると言うこと。あともう1つは、日本ならではの理由で、冬の牡蠣が美味しいことです。と言うのも、そもそもノロウィルスが発生するのは、生か加熱不足の二枚貝から起きる食中毒で二次感染として大流行してしまうのです。

 

しかし一方で、グルメなこの時代になり生牡蠣を出すお店も見つけやすくなってしまいました。「そろそろ生牡蠣が美味しい季節だね」なんて言葉とともに、生牡蠣を食べに行く方も多いのではないでしょうか。

 

サッと火を通せば大丈夫?残念ながら、サッとではダメなんです。ノロウィルスは、ことごとく死滅しにくいのが大きな特徴で、熱耐性も高く、85度で1分以上の加熱、または70℃で5分以上の加熱が、死滅ラインと言われています。牡蠣は、鍋かフライで美味しくいただくのが、安全と言えますね。

 

ただし、近年では二枚貝からの食中毒は少なくなっている傾向だ、と言う結果が出ています。

 

ノロウィルスなどの感染性胃腸炎!下痢や嘔吐はいつまで続くの?

 

今は、二枚貝で起こる食中毒よりも、人から人へ感染する感染性胃腸炎としてのノロウイルスに注意が必要なのです。

 

ノロウィルスの感染から回復まで!潜伏期間は?

潜伏期間が1~2日と短いのもノロウィルスの特徴のひとつです。人によっては、半日くらいで、発症します。(正確には10時間-51時間とされています)

 

平均的に、感染から1~2日の潜伏期を過ぎると、発症します。発症期は2~3日でその後、1週間ほどかけて徐々に回復していきます。発症期の2~3日は、激しい下痢と嘔吐がありすが、その後重症化していくことはありません。

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症状は、下痢、嘔吐、腹痛、悪寒、38度程度の高熱がありますが、個人差があり、大変軽く済む人もいます。

 

子供は嘔吐から始まりやすく、3歳児未満では76%が嘔吐で発症し、3歳児以降年長さんまでの子供は96%が嘔吐を起こしていた、という日本の報告もあります。(JIM 4巻9号 1994/9)

 

死亡例もありますが、ノロウィルス本体が原因ではなく、高齢者や乳幼児の吐しゃ物による窒息、または、誤飲性肺炎によるものがほとんどです。体内に入ったノロウィルスは、十二指腸から上部小腸腸壁細胞に感染し、増殖します。

 

症状が激しいのは長くても3日ほどですが、ウィルスを排出する期間は長く、1週間~3週間ほどです。排出量は徐々に少なくなりますが、排出が続く間は感染する可能性があります。

 

5歳未満の子供、65歳以上の方は、特に脱水症に注意するように、言われています。Overall, less severe than many other diarrheal infections
but can lead to dehydration and hospitalization,especially among children <5 yr of age and adults >65 yr of age.(NEJM 361;18 2009)

 

ノロウィルスの変異が止まらない!!

ノロウィルスが始めて確認されたのは、1968年、アメリカノーウォークの小学校での集団発生で、「ノーウォークウィルス」と呼ばれていました。日本での最初の発生は、1977年の、札幌市の幼児の集団発生で、「サッポロウィルス」とこちらも土地の名前がついていました。

 

ウィルスが、RNA遺伝子を持ち、カプシド構造体と呼ばれる正20面体の球形であること。その大きさが直径27nm~37nmの極小である事が一致したため、研究が進み、ノロウィルスとなりましたが、未だ未解明部分の大きなウィルスです。

 

今まで猛威をふるってきたノロウィルスは、「GⅡ・4」が主流でしたが、2015年に入り変異した「GⅡ・17」が検出され、2月以降は、発症が確認されたウィルスすべてが「GⅡ・17」となりました。

 

国立感染研究所では、この「GⅡ・17」が、ヒトへの感染しやすさに関わる部分が変異したもので、まだ免疫を持っている人がいないため、広く流行する恐れがあると発表しています。

 

1年を通して感染はありますが、日本での感染はほとんどが11月~3月までの時期に発生していましたが、今年8月には、3日に熊本県熊本市東区の保育園児7人、15日には千葉県柏市のホテルから7人、28日には静岡県静岡市葵区の寿司店から9人が、集団感染し、全員から「GⅡ・17」が検出されました。

 

 

また、中国や台湾では、「GⅡ・P17」とまた別の型のノロウィルスが検出されていて、今後の広まりに不安を隠せません。

 

まとめ

感染力の強いノロウィルスは、出来る限りの「手洗い、うがい」と、感染者と遭遇しない「強運」で逃げ切るしか無さそうです。

 

また、自分が感染した場合の回復時の過ごし方にも注意しなくてはなりませんね。まだ、排出されているのに、幼い子供がいる家庭に遊びに行ったりしたら、確実に感染させてしまいます。

 

一人が感染すると、家族全員が感染してしまう確率が高いため、誰もが十分に気を付けなくてはなりません。ハイター消毒液が頼みの綱ですね。感染者の衣類なども、ハイター液にしばらく浸けておくと、消毒されて安心です。

 

とにかく「手洗い、うがい!!」徹底して乗り切りたいですね。