「便秘と一緒にある症状(随伴症状)から便秘の原因を探す!」の記事一覧

便秘は、日常よく遭遇する症状のひとつです。排便回数や頻度は個人差があり、明確に便秘を定義することは難しいのですが、週に2回以下程度、あるいは3日以上排便が無いぐらいの排便回数の減少があれば、便秘症と捉えて良いでしょう。

 

便秘そのものは軽症である場合が多く、生活習慣や食習慣の改善で軽快する事が多いのですが、臨床的に便秘として問題になるのは排便困難、腹部膨満、腹痛やその他の症状を伴う場合と考えられます。

 

これら、便秘と一緒にある症状(随伴症状といいます)から便秘の原因は推測は出来るか、について解説していきます。

 

 

腹部膨満感(便秘とお腹が張った感じがある場合)

便秘症が起こっている時に最も多くの方が感じる症状のひとつが腹部膨満感(お腹が張った状態)です。

 

これは考えてみると当然なのですが、便秘が起こると大腸の中に便が充満し、腸管内でガスが多量に発生します。そのため、同時に腸管への水分が過度に吸収され、さらに便秘が悪化するという悪循環に陥ります。

 

これらの症状でもっとも疑われる便秘のタイプは機能性便秘の中の弛緩性便秘が考えられます。

 

弛緩性便秘は、腸管の蠕動運動が低下していることにより、大腸内の便通の通過時間が延長して起こるもので、水分が高度に吸収されて硬い便がみられます。便秘の中でも最も多いもので、特に女性や高齢者、長期臥床をしている方によくみられます。

 
腸管内の水分不足でコロコロした便が出るのが特徴的です。

 

便秘と同時に下痢も起こる場合に考える原因

硬くコロコロとした弛緩性便秘のような症状に加えて、下痢も同時に起こるタイプの便秘は機能性便秘の中の痙攣性便秘を疑います。

 

痙攣性便秘は、大腸の運動と緊張の亢進により、内容物が停滞し、水分が吸収されて硬くコロコロとした便が出ると同時に下痢も起こります。いわゆる過敏性腸症候群とよばれるストレスや生活環境の変化で自律神経に乱れが生じて起こる症状です。

 

臨床的には下痢と便秘を繰り返したり、残便感があったり、腹痛、腹部膨満感を訴えることも多く、症状は多彩です。

 

 

残便感がともにあるときに考える原因

便意を感じるけども、トイレでいきんでもすっきり便が出ない。あるいは、便が出ても、残便感がある。こういった症状がある時は、機能性便秘の中の直腸性便秘を疑います。

 

直腸内には通常、便は存在しませんので、直腸内に便が入ってくれば、通常は排便反射が起き便意を生じるのですが、この形の便秘は直腸内に便がたまっているにも関わらず便意を生じない状態、あるいは痔などで痛みのために排便ができない状態なのです。

 

排便反射の消失は、多忙のため便意を我慢する習慣を繰り返す人や、便秘薬を常用することで、刺激に対して直腸が反応しないことで生じます。

 

直腸性便秘は一旦起こると繰り返す傾向が強く、長時間腸管内に便が留置されると、有害ガスを多量発生したり、場合によっては大腸癌発生の1要因になるとも言われています。

 

重篤な腹痛、腹壁が板のように硬くなるほど力が入ってしまうときの痛み

軽度の腹痛であればあらゆる便秘のタイプに随伴するため問題は無いのですが、激痛を訴えるほどの腹痛や、お腹が硬くなるほどの痛みが発生すると、器質性便秘を考慮する必要が出てきます。

 

器質性便秘は、結腸がん、直腸がんなどの腫瘍で消化管内腔が狭窄するために起きてくる便秘が代表的です。特に中高年の慢性便秘、細い筒状の便が出た際には注意が必要です。

 

大腸腫瘍などが原因で腫瘍のサイズが大きくなるにつれて、初めは細いとはいえ多少の便通を認めていたものが、本格的に便が出なくなるほど腫瘍が増大すると器質性イレウスといって腸閉塞の状態に陥ります。

 

ここまで状態が悪化すると絞扼性イレウスといって腸管内に血流が滞り、緊急手術の対症になる場合もあります。

 

また、便に血液が付着している場合も、この器質性便秘を疑う必要があります。大腸腫瘍などからの出血が便に付着してこういった症状が出ます。

 

たかが便秘と思わずに、強い腹痛を伴っている場合は、早めに消化器専門医を受診し、大腸カメラなどの精密検査をしていく必要があります。

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