「便の性状(硬さや出方やタイミング)から便秘の原因を探す方法」の記事一覧

便秘症状は健康な人でも一般的に認める症状の一つで、その定義は明確ではありませんが、基本的に健常であれば1週間に2〜3回は排便がありますので、それ以下の場合、便秘を疑っていくべきです。

 

便秘といっても、その原因に応じて急性から慢性便秘、あるいは軽症から場合によって

 

は重篤な疾患が隠れている場合もあります。便秘が起こった時は、排便回数や便の量、固さ、残便感の有無、血液付着の有無、下痢と便秘を繰り返しているかなど、便の性状からある程度、便秘の原因や基礎疾患を推測することができます。

 

以下で、順に便の性状、タイプ別にどのような疾患が疑われるかについて説明していきます。

 

 

血便(血液の付着した便)を伴う便秘

血便とは、その名のように血液が便に付着した状態をいいます。この血液の付着した便は大きく2つのタイプに分けることができます。

 

ひとつは、タール便といって、海苔の色のような黒褐色の便だったり、その名のごとくタールのような黄色〜黒色の便があります。

 

もうひとつは、真っ赤な色のついた便で、これを鮮血便といいます。

 

この二つは、同じ血液が付着した便なのですが、そこから疑われる疾患は少し違いますので、順に説明していきます。

 

1)タール便の便秘の原因

タール便を認めた場合、消化管の中でも胃、十二指腸、小腸など、より肛門から遠い方の消化管に異変が生じたことを示します。

 

便に血液が付着するのですが、消化管内で輸送される間に腸内細菌で分解を受けることで便がタールのように黒褐色に変色してしまうのです。

 

具体的には、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などがあった場合、消化管の運動が抑制されることで便秘を生じます。さらに潰瘍からの出血、あるいは胃がんなどの悪性腫瘍からの出血が疑われます。この場合、胃カメラなどを施行することで診断出来ますので、タール便を認めた時は早急に消化器内科を受診しましょう。ただし、こういう病気の場合は、どちらかというと下痢傾向になります。

 

しかしながら、タール便すなわち、上部消化管出血というわけではりません。

 

タール便が出る原因としては胆汁の分泌不足も考えられます。胆汁は腸管の滑りを潤滑にし、消化管運動を助けるのですが、その胆汁分泌が不足することで便秘を生じます。

 

さらに、いわゆる健康な便が黄褐色を呈しているのは、この胆汁の作用によるところであり、胆汁分泌が不足することで、便はタール色を呈するのです。

 

また、腸管内には善玉菌と悪玉菌とよばれる腸内細菌が繁殖しているのですが、この中で、悪玉菌が増加すると便が硬くなることで便秘が生じ、同時に便はタール色を呈します。

 

 

2)鮮血便(下血)の場合の便秘の原因

タール便は上部消化管からの出血を疑う便でしたが、鮮血便は下部消化管、肛門により近い大腸付近での出血を疑います。

 

特に気をつけるべきは大腸癌などの悪性腫瘍による下血です。

 

腫瘍が大きくなると、消化管の内腔を腫瘍が圧排することで、便通異常が起こり、腫瘍からの出血が付着して、血便となります。

 

単に血便というだけでは、他にも痔核、出血性腸炎や大腸憩室、潰瘍性大腸炎など様々な疾患が考えられるので、この場合も早急に消化器内科を受診し、大腸カメラで診断をすべきです。

 

 

細く少量の便の場合に考える便秘の原因

便秘で細い少量の便が出た時は、便秘の中でも器質性便秘というタイプを考えます。

 

器質性便秘とは、腫瘍や炎症、癒着、捻転や重積による腸管の狭窄、閉塞による便秘のことを指します。

 

前述のように大腸腫瘍などで、消化管の内腔が圧排されると便の通路が狭くなり、細い便が出るようになります。

 

血便を伴う時もありますし、腫瘍からの出血が無い時には必ずしも血便にならないこともあります。

 

便意は正常で、腹痛を伴うことが多く、どんどん便が細くなるという進行性の便秘の場合は、とくにこの器質性便秘を疑います。

 

 

太くて硬い便の場合に考える便秘の原因

便秘で太くて硬い便が出た時は、弛緩性便秘を疑います。弛緩性便秘とは、腸管の蠕動運動、緊張の低下により便が長期間停滞する為に起こり、機能的便秘の1タイプです。

 

便意は少なく、腹痛はある時と無い時があります。

 

便秘の経過は持続的で、長期に渡りこのようなタイプの便が続く時は弛緩性便秘を疑います。

 

 

兎糞状(コロコロとした乾いた便)の便の場合に考える便秘の原因

便秘で兎糞状の便が出た時は、けいれん性便秘を疑います。

 

けいれん性便秘とは、大腸の分節運動と緊張の亢進により、内容物が停滞する便秘で機能性便秘の1タイプです。いわゆる過敏性腸症候群とよばれる病態にみられる便秘のタイプです。

 

便意は強く、腹痛を伴います。

 

便秘の経過は間欠的で、下痢と交互に起こることが特徴です。

 

 

まとめ

以上のように、便の性状からある程度の推測は可能ではありますが、あくまで推測であり、特に血便やタール便を認めたとき、器質的便秘が疑われる時は重篤な疾患が隠れていることもありますので、早めに専門医に相談しましょう。

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